ペット後進国の日本で、私にできることはあるだろうか- 岡田佳奈美 –

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今回は、「PANDPAND」というサービスを立ち上げている岡田佳奈美さんに、どのような問題意識を背景に、サービスを立ち上げに至ったのか、お話を伺いました。

 

──まずはじめに「PANDPAND」とは、どのようなサービスなんですか?

「PAND PAND」は飼い主さんとトレーナーさんをつなぐプラットフォームサービスです。

ワンちゃんを家族として迎えている飼い主さんは、「ワンちゃんのしつけ」についての良質な学び場やコンテンツが少なく、「もうこの子は手がつけられない」という問題行動をたくさん起こす状態になってからトレーナーさんに頼ることが多いんです。

しかし、そのような状態からだと、たとえプロのトレーナーさんであったとしても、手遅れだったり、改善するのに時間がかかったりしてしまいます。

この辺りが、日本が海外と比べて「ペット後進国」と言われている所以ですが、最悪の場合、ワンちゃんと一緒にいることがもはやストレスになってしまう場合もあります。

生活自体は、ワンちゃんを家族に迎える前と同じ状態にしつつ、ワンちゃんが新しい家族として幸せをもたらしてくれるのが理想ですよね。そのためには対症療法的な処置よりも、予防的な対応が必要です。

また、ドッグトレーナーさんなどは、個人事業主がほとんどです。そのため、ワンちゃんについてはたくさん学んでいるものの「経営についてのスキル」は持ち合わせていない場合も多い。つまり独立しても、顧客開拓や会計、ブランディングや接客といったビジネススキルや経営ナレッジについて、どのように行動すれば良いかわからず、学ぶ場も無いため、うまく回っていないケースが多く存在します。

それを繋ぐのが「PAND PAND」です。

 

──なるほど。具体的には、「PANDPAND」でどのようなことができるのでしょうか?

「PAND PAND」のウェブサイトにアクセスしていただくと、たくさんのトレーナーさんの中から自分の住んでいるエリアや、飼っているワンちゃんの犬種、トレーナーさんの性別や特性などを見ながら、自分のお気に入りのトレーナーさんを選び、トレーニングを申し込むことができます。

また自分で探すのが面倒な方に向けては、私たちの方でぴったりなトレーナーさんを紹介させていただくことも可能です。

 

──まるでワンちゃんとトレーナーさんのお見合いサイトみたいですね。ビジネスという観点からいくと、どのような仕組みが取られているのですか?

飼い主さんとトレーナーさんが成約した際に仲介手数料として料金をいただいております。

──少し質問を変えますが、このサービスはどのような背景で立ち上げられたのでしょうか?

もともと高校の同級生にドッグトレーナーがいたことがきっかけです。彼女とは大学以降別々だったのですが、社会人になってから会った際に、ドッグトレーナーとしての活動に悩みを抱えていました。

というのは、先ほども申し上げたように、ワンちゃんに対する知識や愛情はたくさん持ち合わせているのですが、経営や顧客開拓という点ではなかなか上手く立ち回れない。個人で活動する中で、なかなか生計を立てていくのに苦労しているという話を聞いたんですね。

彼女との話をきっかけに少し調べてみると、これは彼女だけに限らず業界全体の悩みであることがわかりました。

さらに殺処分の問題やペットショップでの動物の扱い方など、ペット後進国であるこの国では、ワンちゃんだけに限らず、改善の余地が多くあると気づいたんです。

私自身も動物が好きでしたので、この問題に対しては共感する点も多く、次第に、自分の力で何かできることはないだろうかと考えるようになっていきました。

もともと経営コンサルティングファームで働いていたこともあり、友人、そしてペットを取り巻く環境を、私なりのアプローチで改善できると考えサービスを立ち上げていくことを決意したんです。

──強い問題意識をお持ちだったのですね。サービスを立ち上げていくにあたり、苦労されたことはありますか?

はい。旧態依然とした体制が比較的強い業界ですので、その中で新しいことを始めるためにはたくさんのハードルがありました。

また、自分が足を踏み入れたことがない業界でのチャレンジですので、色々なことをキャッチアップするのにも苦労しました。関連する資格をとったり、独学で勉強をしたり……

一方で、業界に浸かりすぎていない人材だからこそ、できることもたくさんあると感じていました。しがらみや慣習に染まりすぎないこと、一般的な感覚を持った上でビジネスを立ち上げていくことを大切にしたかったので、このバランスは難しかったですね。

外部の視点から当たり前を疑うからこそ見えてくるものがあると考えていましたし、実際そのような効果はあったと思っています。

 

──多くの苦労がある一方で、嬉しいことや誇りに思うことはどんなことでしょうか?

まずは事業を立ち上げたこと自体が自分の一つの誇りであり、自信になっています。何事もチャレンジなので、もし万が一失敗したとしても、この問題や環境に対して、それを解決する新しいことを立ち上げようとした人間がいたことは、自分にとっても業界にとっても意味のあることだと考えています。

また、やはり売上が少しでも立つと、ビジネスとしてサービスの価値を認めてくれる人がいるのだなと嬉しくなりますね。

 

──最後に、今後の展望を教えてください。

今は専門家や飼い主さんの活動しやすい基盤となる「活動基地」をつくりたいと思っています。

そのために直近では、まだ自分自身では集客するのが難しく、生計が立てられない多くのトレーナーさんに、このプラットフォームサービスをどんどん使っていただきたいです。またトレーナーさんにとって使いやすく、好きになってもらえるサービスにブラッシュアップしていきたいと考えています。

そうすることによって、飼い主さんのワンちゃんとの生活が快適になるような、また「うちの子こんなことできたんだ……!」という驚きをたくさんの人に提供していきたいと思っています。

 

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岡田 佳奈美(おかだ・かなみ)

大学卒業後、中小企業向けコンサルティングファーム、トーマツイノベーションに入社。中小企業の人材育成の仕組みづくり、教育制度の構築に携わる。教育制度の一環として、社会人向けの研修を実施し、ロジカルシンキング・プレゼンテーション・ファイナンスなどのベーシックスキルを中心に年間100回ほど講師を務める。また、コンサルタントとしてオペレーション業務の改善や行動指針作成を支援。その後、アントレプレナーとしてペット業界変革に向けた事業の立ち上げ代表取締役就任。GOB-IPでは学生対象のインキュベーションプログラムの開発、企業向け研修プログラム提供に従事。学生へのメンタリング、学生支援者のネットワーク開発、プログラム全体の企画・運営を担当する。