【12/9サロン登壇】PAPAMO 橋本 咲子さんインタビュー

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今回は、「PAPAMO」というサービスを立ち上げており、12/9(土)の『女性起業家と考える起業とライフスタイルとキャリア』に登壇いただく橋本 咲子さんに、どのような問題意識を持ってこのサービスを立ち上げるに至ったのかインタビューさせていただきます。よろしくお願いします!

インタビュアー(イ):まずはじめに「PAPAMO」とは、どのようなサービスなんですか?

橋本:はい、一言でいうと「親戚のおうちのような遊び場」をコンセプトにした、未就学児対象のあそび場のプラットフォームです。
空き部屋などを利用して、お子様とキッズスタッフが一緒に遊んで過ごす時間を提供するためのプラットフォームを展開しています。
お子様とキッズスタッフが遊んでいる間、親御さんは一緒に遊んでも、同じ家の別の部屋でリラックスしていただいても、外出していただいても構いません。
2016年の6月にサービスをリリースし、現在4拠点で展開しています。

(イ):なるほど。「PAPAMO」の特徴はどんなところにありますか?

橋本:はい、お父さんがお子様を連れていらっしゃることが多いのが特徴です。
もともと「PAPAMO」(パパも)という名前にもあるように、世の中の多くの子育て支援サービスがお母さんを対象としていますが、私たちはお父さんが子育てに参画できるためのサービスとして「PAPAMO」を提供しています。そういった意味でお父さんがたくさんいらっしゃるのは、他のサービスと比べて実は珍しかったりします。

(イ):お子様が遊んでいる間、親御さんはどんなことをされているのですか?
読書や編み物、スーパーのチラシチェックなど様々ですね。皆様まるでご自宅にいるように、非常にリラックスしながら過ごされているのが目につきます。
お子様の遊ぶ内容もファッションショーや魚釣り、電車を動かすロボット体験など毎回プログラムコンテンツのテーマが決まっているので、親御さんがいらっしゃらなくても遊ぶのに夢中になっています。

(イ):橋本さんはどのような背景でこの「PAPAMO」を立ち上げられたのでしょうか?

橋本:はい、まず一つ大きなきっかけとなった出来事が私の友人が育児ノイローゼとなってしまったことでした。子供を虐待する寸前であったと聞き、それまでは幼児虐待というのは遠い世界だと思っていたのですが、自分の大切な友人もそのような精神状態になってしまうのだとショックを受けたんです。
それをきっかけに周りの子供を持つ知り合いの方に話を聞いてみると、虐待はしないまでも尋常じゃないストレスがかかっているということがわかりました。
数字的にも4割くらいの親御さんが産後鬱やノイローゼになると聞き、身近に起こりうる重大な社会問題であり、解決したいと考えるに至ったんです。

(イ):確かに大きな社会問題ではありますが、NPOや公共的な取組みの中にも、このような問題を解決しようとする取組みがありますよね?

橋本:はい、公共サービスやNPOでも課題解決に向けた取組みがたくさん実施されており、それでもなお解決されていない課題が山積しているのがこの領域です。
その原因は様々あるのですが、その大きな一つが「保育は儲からない」という業界的な通念だと考えています。つまり保育の領域ではどこも本当に素晴らしい理念で活動されている一方で、ビジネスモデルが充分に構築されていなかったり、ボランティアによる取組みに立脚している部分が多く、特定の地域が良い環境・良い待遇になることはあっても、等しくみんながサービスを受けられる状態になっていないというのが現状にあります。
NPOや公共サービスには限界がある一方で、利益を得て、ビジネスとして回していくことができれば、多くの方へ広げていくことができます。保育のこの領域の問題を、”スケーラブル”で”サステナブル”な「ビジネス」という形で実現したいというのが私がこのサービスを立ち上げた背景の一つです。

(イ):そういう意味では、「PAPAMO」を立ち上げられた背景には、社会的な側面と、ご友人という周囲から影響を受けた部分、そして女性である橋本さんも場合によっては将来同じような境遇となるかもしれないという、個人的な側面の部分もあるわけですね。

橋本:そうですね。それまで色々な社会問題に興味はあったのですが、なかなか「自分の命をかけてまでやる」ということは見つかっていないというのが実情だったのですが、まさに社会性と周囲の関係と自分自身の問題が重なったというのが、サービスの立ち上げに取り組んでいく理由となりました。

(イ):社会性という部分でいくと、キッズスタッフと呼ばれるスタッフの方々にも焦点を当てているそうですね?

橋本:はい。昨今、保育士不足と言われている一方で、「潜在保育士」と呼ばれる、資格を持っているものの働いていない保育士さんがたくさんいらっしゃいます。
実情としては、例えば保育士の方にお子さんがおり、フルタイムで現場に戻ることは難しいものの資格を活かしたいと考えている。ただ保育園や幼稚園では、現場の運営が優先されるので、なかなか自由な働き方ができず、多くの潜在保育士が実際には働ける状況にないといった場合が多々あるのです。
「PAPAMO」は、直営店型の店舗を増やすというよりもCtoCのプラットフォームサービス(保育士さんと親御さんを繋げるためのサービス)として展開していきたいと考えており、そうなると保育士さんが「マイ保育園」を持つようなイメージで自分のスタイルで働くことができるようになっていきます。

(イ):少しお話が変わりますが、立ち上げるにあたって大変だったことや苦労されたことを教えてください。

橋本:大きく3つあります。
一つ目は私が保育の領域と遠い世界にいたので、様々なことを一から勉強したことです。
ビジネス的に、保育がどういう構造になっているのか、また子供とどう関わっていくのかなども自分で一から勉強しました。また保育士さんや関係者の方とのコネクションもなかったので、そこも一から開拓していく必要がありました。
二つ目は安全面の心配です。命を預かる取り組みなので、万が一にでも事故を起こすようなことがあってはなりません。
事故があったら一瞬で終わりですし、命は何にも変えられないので、いつも万全の体制を整えているのですが、考えても考えきれない部分ですし、サービスを公開する前日は心配でいつも寝られなかったりしています。
三点目は法律的な部分ですね。新しい業態なので、何も考えずに取り組むと違法にもなりかねません。サービスとしては望まれていると感じているので、法に触れない形で新しい領域を開いていけるように、弁護士さんや然るべき役所の担当者さんと何度も打ち合わせを重ねましたし、法律も自分で勉強していきました。

(イ):なるほど。現在はサービスを開始している状態ですが、現在大変に感じることはどんなことでしょうか?

橋本:一番はお金をとってやることはトライアルの段階と大きく異なるということです。プロトタイプで実施していた際は問題なく進んでいたことが、実際にサービスを開始すると上手くいかないといったこともよくあります。
また、現在キッズスタッフも業務委託でお願いしているので、一部とはいえキッズスタッフの生活や人生も背負っているということに対するプレッシャーも少なくありません。

(イ):一方で実際に実施されて嬉しいことや誇りに思うことなどはありますでしょうか?

橋本:一番はやはりユーザーの声ですね。例えばPAPAMOに来てくれたあと、子供たちが帰るときに「また来たい」「帰りたくない」と言ってくれるのはすごく嬉しいですし、親御さんからも「また来ます」と言っていただいた際は価値がしっかり届いたなと誇りに思います。

(イ):では最後に今後の展望やビジョンを教えてください。
子育てをきっかけに夫婦の仲が悪くなる家庭は少なくありません。しかし親の仲が悪いと、子供もハッピーではいることができません。夫婦2人だけで子育てをすることに無理があるとしたら私たちはそのサポートをさせていただきたい。子育てをすることで子供もハッピーだし、夫婦も幸せでいられる社会を作りたいと思っています。
「パパやママが気軽に頼りながら、無理なく子育てできる社会」というのが私たちのビジョン・ミッションであり、この1年で関東に10拠点つくるのが目標です。

イ):橋本さん、ありがとうございました。

プロフィール
橋本 咲子(はしもと・さきこ)

大学在学時より、社会課題をビジネスで解決することに関心を持ち、ソーシャルアントレプレナーの元で活動したり、ワークショップを多数実施。卒業後は、アクセンチュア戦略グループにて勤務。GOB-IPでは、企業向けコンサルティングを担当。その傍ら、育児ノイローゼや産後鬱がない未来を創るため、子育て支援事業を立ち上げ中。