“KOCHI STARTUP PARK”って?-Producer 滝本 悠-

この度、高知県は、新しい事業・起業に取り組む方をサポートするインキュベーションプロジェクト「KOCHI STARTUP PARK」をスタートさせました。

今回は、このプロジェクトの仕掛け人の一人である滝本悠(たきもとはるか)さんにお話を伺いました。

──滝本さんは普段、どんなお仕事をされているんですか?

普段は、GOB Incubation Partnersという会社で取締役をしています。GOBは『Get Out of the Box(=箱から飛び出す)』の略で、しがらみが多いビジネスという世界の中で、それをどう超えていくかを志向している会社です。

具体的な事業内容は主に2つですね。

1つは、インキュベーションと言って、新しいビジネスを仕掛けていく人たちとご一緒して、そのサポートをしています。

もう1つはコンサルティングの領域で、こちらは大企業の特に新規事業を立上げ時に、一緒にコンセプトをつくりこんだり、ユーザーニーズを調査したりといったことをやらせていただいています。

高知に生まれる公園のような起業家コミュニティ

──今回そのGOB-IPが高知県とタッグを組んでプロジェクトを仕掛けていくわけですが、改めてKOCHI STARTUP PARKのコンセプトを教えていただけますか?

私たちは、「高知県にチャレンジする人のための”文化”を作りたい」と考えています。

というのも、地方の中で新しくビジネスを始めるとなると、チャレンジャーの絶対数やマーケットが小さいなどの点から、難しいことだと考えられがちです。でも実はそんなことはないと考えていまして、今、これだけ働く場所が問われない環境になっているので、面白いビジネスをつくったり、新しいことを自分らしくやっていったりみたいなことはすごくやりやすい時代になっていると思っているんです。KOCHI STARTUP PARKでは、環境や属性に囚われずチャレンジする世界を実現していきたいと考えています。

その上で、今回は、「PARK」なので、「公園」がコンセプトの核になってるんですね。日本の中で「起業」をイメージしてみる、例えばGoogleの画像検索で「起業」って調べてみると、スーツのお兄さんお姉さん、シュッとしたビジネスマンの画像とかが出てくるんですよ。たぶん、ステータスを獲得していくとか、格好良くビジネスをつくっていく、みたいなイメージなんですよね。また、「スタートアップ」で検索すると、”電球”と”ロケット”のイメージが出てくる。思いついたものを大きく跳ねあがらせていくといったことだと思うんです。

だけど、本来の起業の姿ってそれらのイメージとは全く違うと思っています。

実際は「いかにプロダクトの価値向上に泥臭くあれるか、動き回れるか」っていうところがとても重要で、プラス、それをいかに苦しまずに、自分の志やミッションを持って楽しんでやれるかだと思っています。

そういう「泥まみれになって楽しんでいく」というイメージから、「PARK」というコンセプトが生まれました。だから、KOCHI STARTUP PARKでは、関わる皆さんがお互いに交流し、遊び、刺激をし合いながら成長していく、学び合っていくということをコンセプトとして強く意識していますね。

もう一つ大切にしているのは、「農耕型で事業を進めていく」ということです。起業と聞くと、大きいリターンを求めて、ハイリスクな未知の環境に飛び込んでいく、言うなれば、ジャングルで獲物を狩る「狩猟型」っぽいリスクの高さをイメージする人が多いかと思います。それこそ、よく「新規事業は10個に1個当たればいい」と言われますが、私たちは、基本的にそのあり方を見直していきたいと考えているんです。

特に、人口の絶対数が少なくて、かつ縮小していくっていうローカルな環境では、確率論でやろうとしても成功の可能性は低いわけですよね。みんながみんな「起業をしたい」「大きいリターンを得たい」と思っている集団であれば良いと思うんですけど、日本にはそういう人ばかりではないと思っていて、自分のやりたいことや世界観をつくって生きていきたいという、スモールビジネス・小商いを志向している人たちが非常に多いんだろうなって思ってるんです。そうすると、一般に起業が持つイメージや多くの投資家のやり方みたいなところは、特にローカルな地域のにはフィットしにくいんじゃないかと思っています。

だからこそ私たちは、お米を育てるみたいに、ゆっくりゆっくり農耕型で進めていきたいと考えているんです。投資の世界ではよく、「レモンは2年、真珠は7年」とかって言われますけど、それがいわゆる短期間。我々はもっと中長期で捉え、事業だけじゃなく、その人が持つビジョンや志を引き出しながら、事業と人を一緒に育てていくことを意識しています。

起業は”長屋”の支え合いのイメージ

──なるほど。では実際に、KOCHI STARTUP PARKではどういったことを進めていくのでしょうか?

具体的には、「プログラム」と「メンタリング」の2つの柱があります。

1.プログラム

KOCHI STARTUP PARKでは、ビジネスがまだ全然出来上がっていない人、モヤモヤした思いつき、何かしたいという志の段階にある人ともぜひご一緒したいと思っています。何かしたいんだけど、何をどうすればいいかわからないっていう段階の人たちと、自分の志やビジョンを固め、ビジネスアイデアの種をつくり、それを育てていく。最終的にはそのアイデアをプロトタイプ(試作品)にして、全く知らないお客さんに試してもらうデモデイまで繋げることにより、一番最初の思いつきの段階から、最後、実際に小さく世の中に出してみるというところまでを共に支援するプログラムを実施していきます。

2.メンタリング

2つ目の柱はメンタリング。つまり、事業を一緒に考える検討の機会を設けています。

我々がメンタリングで意識しているポイントは、本人の持つ想いや志をいかに最大化するか、ということを一緒に考えさせていただくことです。私たちも答えを知っているわけではないですし、神様でもないので、一緒に悩みながら挑戦をサポートしていきたいと考えています。

ここは私だけじゃなく、本当に多種多様なメンバーが20〜30人ひっきりなしに事業相談の機会を設けていきますので、ぜひご活用いただきたいですね。

一般的に、起業をするって、とんでもなくできるビジネスマンが周囲の人をなぎ倒しながらつくっていく、進めていくっていう風に捉えられがちです。私も昔はそう考えていたんですけど、実際は全く違って、できるビジネスマンも含めて、割と周囲のコミュニティの中でお互いがお互いのことを支えあいながらやっている、長屋のようなイメージが近いと思います。やっぱり小さいビジネスなので、1人だけでやろうとしても何もできないと思うんですね。そういう意味では、集まった人たちが交流をしながら支えあっていくようなことをサポートしたいですね。

──最後に、KOCHI STARTUP PARKの会員の方々へ向けて、メッセージをお願いします。

私たちとしてもはじめての取り組みなので、何かを提供するっていう感覚は全然持っていなくて、関係者みんなで育てていくっていう取り組みだと思っています。高知に起業文化を形成するというゴールは、我々だけで達成できるものではありません。ですから、私たちが持っているものを一方通行でつくっていくというよりは、みなさんも一緒につくっていただければありがたいなと思っています。


滝本 悠(たきもと はるか)/GOB Incubation Partners 取締役

大手企業における新規事業創出や外資系自動車会社とのマーケティングプロジェクト、カスタマーインサイト抽出の調査案件や次世代リーダー育成研修などに携わる他、俳優・映画監督の伊勢谷友介氏らが立ち上げるREBIRTH PROJECTと共に教育プロジェクトを展開。最近では、スマートフォンで乾電池の出力をコントロールするIoT製品『MaBeee』の立ち上げに参画。マーケティングディレクターとして、マーケティング面全般を担う。

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