「働くパパに子どもとふれ合う時間を」前職の経験を活かしてママ起業──有安真奈さん

昨年、KOCHI STARTUP PARKのプログラムに参加し、その後起業した有安真奈(ありやす・まな)さん。主婦として家事や子育てをしている有安さんは、KSPのプログラム参加後の2017年夏にパソコン研修と企業で利用されている雛形の改善を組み合わせた新たなサービスで起業しました。起業から1年が経った有安さんに、起業するに至った背景やこの1年間の歩みを聞きました。

転職か起業か──決断を後押しした有安さんの想い

私は、大学を卒業してからの13年間、高知市のIT企業に勤めていました。勤務先は「高知県次世代育成支援企業」の認定を受ける、子育てのしやすい職場環境ではあったものの、子どもが小学生以上になると、時短勤務が難しく、主人も帰宅時間が遅いこともあり、この先どうするべきか、ずっと悩んでいました。

2017年の夏、家庭や仕事のさまざまなタイミングが重なって、思い切って「起業」の道を選びました。実は、選択肢として転職も考えていましたが、「家庭や子どもと過ごす時間を大切にしたい、でも、社会からも必要とされる人間でありたい」と思ったんです。そんな思いもあり、時間に縛られる転職よりも、自分がやりたいことができる起業を選びました。今振り返ると「子どもと一緒にいたいし、自分が好きな仕事もしたい」だなんて、なんてわがままな考えだったんだろう……と思いますが。

私の場合は主人も働いているので、失敗してもなんとかなると思えましたし、主人に転職するか起業するかを相談した時に「好きな事をしたらいいよ」と言ってもらえたことは、起業に踏み出す大きな力になりました。

とはいえ、起業って何から始めたらいいのか全く分かりませんし、かっちりとした事業アイデアもない。この選択が合っているのか悩んでも答えも出ないし、「占い」に行って「私この先大丈夫でしょうか…」と相談したりもしました。

今思えば、この道が正解なのかどうかは、やってみなければ分からないんですよね。今でこそそう思えますが、当時はその踏み出し方がわからなかったし、勇気もなかった。

そんな時に以前に聞いたことがあった「KOCHI STARTUP PARK(以下、KSP)」の存在を思い出しました。ウェブサイトを見ると、起業相談(オフィスアワー)を開催していたので、すぐに申し込んだんです。これが起業の1歩目でした。

「パパまた帰ってきちゅうね」子どもの一言が忘れられず……

私は、もともと企業でパソコンインストラクターをしていました。ですから、まずはそのスキルを活かしてパソコン教室をしようと思っていたんです。。ただ、KSPのオフィスアワーの時間などを使い、起業するにあたって「起業を通じて自分は何がしたいんだろう?」とじっくりと考えて行くと、「子どもが起きている間に帰れるお父さんを増やしたい。それを実現できる仕事をしたい」という想いが強くなりました。

そのような想いに至ったきっかけには、ある日の子どもの一言がありました。夜、寝ていた子どもが、ふと起きて寝ている主人を見た時に、「パパまた帰ってきちゅうね」って言ったんです。

主人は毎日家に帰ってきているのに、子どもにとっては、「パパは時々帰ってくる人」という感覚だったんですね。自分が寝ている時に帰ってきて、朝起きた時には出勤していないから。

そんな子どもの言葉がずっと心の底にあって、帰りの遅い主人や毎日1人で仕事に育児に大変なママ友、疲れきったお父さんたちを見ていく中で「子どもが起きている間に帰れるお父さんを増やしたい」という想いはますます強くなっていきました。

高知県は共働きの家庭が多いです。働くお父さんたちが早く帰れるということは、ともに働くお母さんにとってもよい影響を与えてくれると思っています。会社に勤めていた頃の私を含め、働くお母さんの多くは、会社に対しての申し訳なさを感じながら、子どものお迎えの為に、夕方に仕事を終えて、急いで子どもを迎えに行きます。その後は休む暇もなく食事を作り、子どもをお風呂に入れて、寝かしつけて、子どもが寝た頃にお父さんが帰ってきて……そんな繰り返しで毎日ヘトヘトだと思います。

もしお父さんが早く帰って来てくれたら、また働くお母さんも少しでも早く仕事を片付けられたら、起業を通してそのお手伝いをできたらと思いました。

顧客のニーズに合わせて、勇気を出して事業を方向転換

同世代(30代半ば)のお父さんに話を聞くと、多くが中間管理職の世代で「パソコン操作についてわからないことがあっても後輩にも上司にも聞けない」「本を買っても勉強する時間が無い」「独学でやってきたが、今のやり方の効率が良いか悪いかも分からない」といった悩みを抱えていました。

「業務効率を改善し、残業を少なくしたい」

自分の実現したいことが固まった時に改めて考えると、パソコン教室という事業の形自体を変える必要性を感じるようになりました。パソコン教室を開いたとしても、その知識やスキルをどれくらい業務に落とし込めるかは人によって、また担当する業務内容によって異なります。本当に求められている形は何かを考え、ヒアリングした先に、会社の中にある見積書などの雛形(テンプレート)を改善することで、時間短縮できる業務が多くあるということに気が付いたんです。

▽実際の雛形改善例

例えば、毎月の予定表をExcelで作成する場合。翌月分のカレンダーを作る際に、日付や曜日を修正して、土日に色をつけて……と0から新たに作業をすると10分程度は掛かります。しかし雛形そのものを改善してあらかじめ仕組みを整えておけば、「12/1」といった月初の日付を入力するその1秒の作業での翌月分のカレンダーが仕上がります。

雛形の改善は時間がかかりますが、その改善作業を私が行うことで、企業に負担を掛けることはありません。加えて、雛形を活用して資料を最速で作成するための操作研修も行います。例えば、「表の最終行に移動するショートカットキーCtrl +↓」の活用や「リストから文字を選択する方法」など、雛形別に使用する機能を抜粋して説明し、その後の業務効率アップのためのフォローアップを行うことで、誰でも最速で業務を終えることができます。

雛形改善で、効率アップ! 6時間の仕事が5秒になった例も

最近では、働き方改革の影響で、働き方や勤務体系を見直す動きもあります。そういう大きな動きは大切な一方で、自分たちの仕事がすぐに減るわけでもなく、大変さを抱えながら働く人たちもまだまだ数多くいます。そんな状況に対して、私にできる事があると思い、サービスを展開しています。

動画:事業内容のご紹介>

サービスは、すでに法人数社を含め、多くのお客様にご利用いただいていて、嬉しい声もたくさん寄せられています。今まで6時間かかっていた仕事が、雛形の改善で5秒になった例もありますし、自分が作成する資料に合わせた最適・最速な操作方法をマスターすることで、業務効率が格段にアップします。

雛形の改善実績(ウェブサイトより)

また、並行して関連する各種サービスも提供しています。1つは、個人事業主の方を対象とした「SNS導入サポートサービス・資料作成代行」です。「インスタグラムやLINE@を始めたいけど、操作方法が分からない」という方に対して、スマートフォンへのインストールから、掲載文章の相談、運用までをサポートしています。また、チラシや資料作成の代行、出張でのパソコン教室なども展開しています。

動画:お客様の声>

 

サービス開始1年で順調に成長も、立ち上げ当初は人知れず苦労も

この仕事を始めて1年ほどが経ち、今は事業として安定してきたように思います。ただ、その中でも悩むことは多々ありました。時には、自分の売りであるサービスとお客さまのニーズとのギャップに悩み、想定していた事業の形とずれてしまうこともありました。

それでも、起業後も継続的にKSPのオフィスアワーで頭を整理したり、そして何より、自分の仕事に対して泣いて喜んでくださるお客さまがいること、「助かった」「ありがとう」というお客様からの言葉が日々の支えになっています。

ですから嘘だと思われるかもしれませんが、悩むことや考えることはあれ、仕事が嫌だなと感じることは1つもありません。

お客さまとの写真

大学生向けへの展開も──社会に出て働く人に豊かな時間を過ごしてもらいたい

今後は、就職を控えた大学生向けにもパソコン教室を開きたいと考えています。私の周りの大学生や、取引先の企業の新入社員の方々の声を聞くと、「スマホ操作には慣れているけどパソコンには慣れていない」という大学生が多くいます。そういった方へのサービス展開により、残業予備群を未然に防げたらと思っています。より多くの方に事業を知っていただき、より多くの方の助けになれる存在になりたいです。

仕事を通してお客様に喜んでいただけると「この仕事が大好きだ!」と心の底から思います。不安もある中、多くの人の力を借りて、手探りでなんとか前に進んできましたが、今では「起業」という決断をして良かったと思います。楽しみながら仕事をする、というのは単なる理想論かもしれません。それでも、私は自分の「起業」を通して、そんな働き方を実現してみたいと思っています。


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