「はたらく女性の保健室を」、ポラリティセラピーで誰もが原点に戻れる場づくり:ハネノヤ代表・福崎寛子

女性を中心に「ポラリティセラピー」と呼ばれるケアを提供する「ハノネヤ」代表の福崎寛子(ふくさき・ひろこ)さんにお話を聞きました。

福崎さんは、2017年度にKSPが開催したステップアッププログラムやデモデイに参加し、事業化に向けて準備を進めていました。

女性を対象にサービス展開、こうち男女共同参画センターソーレの委託事業も運営

ハノネヤは「はたらく女性の保健室」をコンセプトに事業を運営しており、現在は須崎市にサロンを構えながら、主に女性向けにいくつかのサービスを提供しています。

そのうちの一つが、こうち男女共同参画センターソーレから委託を受けて開催している「更年期対策ケア講座」です。

更年期ケア講座の様子

更年期というと、多くの人はイライラすると言った漠然としたネガティブなイメージを持っているかもしれません。しかし、誤った情報に踊らされることなく、正確な知識を持てば、事前に対策をとることも可能です。

例えば更年期には、男性ホルモンが優位になり、女性ホルモンが減少し、やがてゼロになります。これを女性としての衰えのように捉える風潮もありますが、実はこうした変化の中で、男性ホルモンが血流を良くしたり、骨密度を高くしてくれたりといった良い影響も与えてくれるのです。また、更年期でイライラするのは、女性ホルモンが急降下する切り替わりの時だけで、それが落ち着くと実は精神状態が非常に安定します。

こうした知識を前もって知ることで、ホルモンの急降下を緩やかにするケアをすることができますし、症状が出た時にも冷静に対応できるようになります。

その他、働く女性向けにボディワークを提供したり、最近では病院の一角をお借りしてマインドフルネス体験会を行ったりもしています。マインドフルネス、というのは「今、この瞬間」を深呼吸しながらただ感じる時間です。そうすることで、思考の解放から脳がリラックスし、ストレス軽減や集中力が高まるといわれています。アップルやGoogleの社員研修にも導入され、現在医療分野でも慢性の痛みとの共存や、ストレス軽減、自己肯定感を高めるツールとして取り入れられています。

育児と看病に追われる生活、葛藤から「ポラリティ」と出会う

私はもともと兵庫の生まれです。高校卒業後は、アパレルの販売員や調理の仕事を経験し、25歳くらいの頃に退職。この時に、自然豊かな土地で暮らしたいと思い、地元を出ることを決めます。もともと高知は母親の実家があって何度か訪れたこともあり、まずは高知からと。高知に向かって、車中泊をしながら四国を1周していく中で、気に入った場所を見つけました。

移住当初は、以前から興味を持っていた染織りの仕事をして生計を立てていました。そんな私が事業を志すようになったきっかけは、自分自身がポラリティセラピーの施術を受けたことです。

移住後、私は結婚して2人の子どもに恵まれます。しかし、子どもが0歳と2歳とかわいい盛りでもあり、まだ手がかかるときに、パートナーが体調を崩してしまい、育児とパートナーの看病をする生活が続くようになりました。もちろん、愛していましたし嫌ではありませんでした。しかし、お風呂は五右衛門風呂で薪窯という山暮らしの中で、日々の生活を1人でこなすのに、疲睡眠不足と疲労が重なり自分の余裕のなさと、一方で色々ある中でも子どもたちと機嫌よく過ごしたいという気持ちとの間で葛藤を抱えるようになりました。この葛藤に苦しんでいたときに、紹介してもらったのが「ポラリティセラピー」でした。

ポラリティとは、身体の磁場を整え、本来の治癒力や生命力を取り戻すセラピーです。

はじめは自分のために学んでいたポラリティですが、自分を尊重しながら誰かに貢献できるこの仕事が自分に合っていると感じるようになりました。

特に、自分自身も入院生活を送ったり、パートナーや父親の看病をしたりといった経験から、病院の外に出られない人にとって、ポラリティセラピーが、つらい治療や病院生活と向き合う支えとして有効なのではないかという思いを強めます。病院の中で、自分自身に寄り添い、今ある命を尊重しながら過ごせる空間があるといいなと思うようになったんです。この思いが独立を目指す第一歩となりました。

移動サロンでの様子(この日は 畑の一角で)

例えば、優しく触れるポラリティセラピーは患者さんがリラックスして治療に臨むことを助けるでしょうし、心身のリラックスは、治癒力を引き出し自分自身を肯定的に受け止める手助けになるはずです。治療に対して、「治してもらう」ではなく、自分自身の健康を自分で見つけることへと捉え方を転換することで、早期回復や緩和ケアにつながるのではないかと考えています。

今は、自由に出入りでき、ヨガや、マインドフルネスをしたり、セラピーを受けたり、自分自身と安心して寄り添える空間を各所へ導入するために、日々活動を続けています。

オーガニックマーケットで毎週の施術、経験と自信を蓄える

私が個人としてポラリティセラピーの仕事をする足がかりとなったのは、今でも毎週、高知市の池公園で開催される「高知オーガニックマーケット」への出店でした。

オーガニックマーケットへの出店の様子

当時、オーガニックマーケットが立ち上がるタイミングの時に、以前からお付き合いのあった主催者の故・弘瀬純子さんが「せっかく資格を取ったんだからお店を出して仕事にしなさい!」と背中を押してくれて、右も左も分からない状態でスタートしました。実際にマーケットにやってくる何人ものお客さんと向き合えたことは経験の少なかった私にとっては非常に貴重なものでした。また、出店の場合、1時間や2時間かけてじっくり施術をするわけにはいきませんから、短時間で施術の効果を実感してもらう必要があります。毎週末、オーガニックマーケットでこうした経験を積めたことは、今の自信にもつながっています。

「仕事を続けるか迷っていた」──再燃のきっかけは、KSPデモデイでの1期生のプレゼンだった

KSPデモデイでのプレゼンの様子

しかしその後、パートナーとの離婚など環境の変化で体調を崩してしまう時期が続きました。一時期は仕事ができない状態で、このまま仕事を続けるかどうか迷っていた時、偶然FacebookでKOCHI STARTUP PARKのことを知りました。まだ第1期の時で、開催するデモデイを見に行ったところ、現在、Workthを運営する橋本貴紘さんがプレゼン(Workthは、働く人を対象に、身体の不調の解決策を提供する事業)するのを見たんです。

少なからず自分の事業近いことをされていた橋本さんのプレゼンを見た時に、どこか悔しさもあり。これがきっかけで改めて自分と向き合い、病院などへ患者さんをはじめ利用する人の心に寄り添える空間を作りたいという元々の思いに立ち返ることができました。その後、私もステップアッププログラムの第2期に参加し、事業づくりを学びました。

ちなみに、そんな縁もあり、2019年6月からは、橋本さんが運営するWorkthで産業カウセラーとしてのお手伝いも開始しています。

KSPデモデイでのデモの様子

女性に限らず、自分の原点に帰れる場所を提供したい

今後は病院の患者だけではなく、病院で働くスタッフのケアもしていきたいです。昔の私がそうだったように、サポートする側のケアも大切です。また、女性に限らず、働く人全般の心と身体のケアを提案していきたいとも思っています。

たとえ病気になったとしてもそれもまた人生の彩。良い悪いも合わせて、自分自身と寄り添い「何者でもない素の自分に戻れる」、そんな居心地の良い場所をつくっていけたらと思っています。今後の事業拡大に向けて、現在は一緒に手伝ってくれる仲間も探しています。さまざまな方々とつながりながら事業の活動の場を少しずつ広げていこうと思っています。

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