病院の母親学級で出会った2人、「音楽+知育+リトミック」で“手探り”起業:コラソンピアノスクール・小笠原美澄 /吉岡美月

高知市内で音楽、知育、リトミックを融合した幼児教室「コラソンピアノスクール」を運営する吉岡美月(よしおか・みづき)さんと小笠原美澄(おがさわら・みすみ)さんにお話を聞きました。

お2人は2018年冬に開催した第2期ステップアッププログラムに参加し、事業の立ち上げを準備してきました。それから約2年。教室オープンまで、そしてその後の道のりとは──。

2018年4月、高知市で「コラソンピアノスクール」を開

教室の様子(奥が小笠原さん)

吉岡美月(以下、吉岡):「コラソンピアノスクール」は0歳から6歳の未就学児を対象にした、音楽教育と知育、リトミックの要素を掛け合わせた幼児教室です。

1レッスン45分の中で、音楽の基礎知識や音感、リズム感を養う内容と、工作や絵などの創作活動、自然科学、地理、歴史文化などの知的好奇心を刺激する楽しい考察や実験、マナーやモラル、思いやりの心を育てる道徳の要素、さらにはリトミックといった幅広い学びを体験してもらうことができます。

2018年4月に教室を開校し、それからまもなく、私と小笠原さんの2人が妊娠したこともあり、12月から一時お休みをもらい、2019年5月から本格的に再始動。現在は10名ほどのお子さんが通ってくれています。

小笠原美澄(以下、小笠原):私も吉岡さんもともに高知市の生まれで、4歳からクラシックピアノを習っていたという共通点があります。吉岡さんはその後ミュージシャンとして活動し、全国オーディションでの優勝や、多数のCMタイアップを手がけるなど活躍。私は現在までピアノ講師として働いており、以前には幼児教室で講師もしていました。コラソンピアノスクールはそんな2人のバックボーンが重なって生まれた教室です。

「音楽+知育+リトミック」、これまでにないコンセプトの教室をオープン

小笠原:コラソンピアノスクールならではの価値はいくつかあって、まずピアノ講師の立場としては、ピアノ教室に通う前に、幼少期に培っておいた方が良い力や、ピアノを弾きながらでは習得しにくいことを取り出して教えられる点が挙げられます。

また幼児教室の側面では、小学校へ上がる前に、ひらがなの読み書き、数を理解したり、時計が読めたりといった知育を、遊びを通して楽しく身につけられる教室を意識しています。こうした言語や数の概念といった知育的な内容は、音楽を学ぶ上でも、土台として身に付けておきたいものです。

ピアノ教室や知育教室だと、どちらか一方に偏りすぎてしまう部分を、それぞれの良いところを抽出してプログラムに落とし込んでいます。

吉岡:音楽やピアノ、知育といったそれぞれの要素は流れの中で複合的に学べるようになっています。例えば歌いながらひらがなを覚えたり、といったイメージですね。今から知育をやるよとか、今から音楽をやるよというよりは、まぜこぜです。

病院の母親学級で知り合い、意気投合

KSPデモデイでのプレゼンの様子(写真左:小笠原さん、右:吉岡さん)

吉岡:私と小笠原さんが知り合ったのは、お互い1人目の子どもを出産した病院の母親学級でした。

同じクラシックピアノ出身ということもあり、すぐに仲良しに。2人とも子育てをしている身でも、ちゃんとお仕事をしてお金を稼ぎたいという思いを持っていました。そうやって考えていくと、自分たちのやりたいことで、お金も稼げるのはやはり自営業だよね、という話になり、とりあえず2人で何かやってみようか、と。これが最初のきっかけでした。

小笠原:はじめはお互いのバックグラウンドを活かしてリトミック教室を開こうかと話していました。ただ、高知市内でも同じような教室はたくさんありましたし、リトミックだけでは身につけられない力も色々とあります。そこで、ピアノ教室や幼児教室の講師の経験も活かして、それらの側面から見ても全体的にバランス良く、必要な力を養える教室を作ろうというコンセプトのもと、現在のコラソンピアノスクールの形に至っています。

吉岡:2017年の夏に2人が出会って、2018年の冬にKOCHI STARTUP PARKが開催している「ステップアッププログラム(事業立ち上げ準備をサポートする全5回のプログラム)」に参加します。すでに教室の構想はあったので、プログラムの中で、事業化に向けたステップを踏んでいきました。

“見切り発車”の教室スタート

小笠原:今思うと、教室のオープンはかなり見切り発車でしたね。もともと自宅でピアノ教室をやっていたので、開校場所があったというのも大きかったですが、細かなプログラムの内容などはオープンしてからも日々研究を重ねて作りあげていきました。

今までにないコンセプトの教室なので、どうしたらいいか常に迷いながら手探りで進んでいます。

吉岡:当時、KSPのプログラムを受けていたときに飲み込めていなかった内容が、船出して今になってからようやく腑に落ちたり役に立ってたりといったことも多くて、それは非常に助けられていますね。

小笠原:思い切って教室をオープンしてよかったと思う一方で、やっぱり、見切り発車ゆえに苦労していることもたくさんあって。

吉岡:そうですね。自分たちの価値や位置付けをはっきりさせておいた方がよかったなと思っています。信頼して通ってくれる生徒さんたちをはじめ、人を巻き込んでいくと、その位置付けを変えることはどんどん難しくなっていきますからね。

そういうところも日々学びながら前に進んでいる感じです。

「遊びながら身につく」を大切に、子育て中の2人だからこその子ども目線も役立っている

小笠原:プログラムを作る上では、まず「面白い」ことを大前提に考えています。楽しく遊んでいる中で、いつの間にか知育や音楽の能力が身につくというか、そういう感覚を大切にしています。

それに2人とも、家庭でも毎日、子どもと触れているので、その中で感じたことや気づきがプログラムや教材開発に活きることも多いです。

吉岡:私自身は、幼少期に習っていたクラシックからその後ポップスへと転身したんですけど、クラシック以外の音楽に触れる中で、クラシックだけをやっていたら気づけなかったことがたくさんありました。

ピアノを習おうとすると「とりあえずクラシック」と考える人が多いと思います。でもそうではなくて、いろいろな選択肢や音楽性があることを知ってもらいたいですし、コラソンピアノスクールではそういった部分を感じてもらえる仕掛けも常に意識しています。

すべて手作り、子どもの目線に立ったユニークな教材も魅力

自作教材の数々、そのどれもが子どもの目線に立って作られている

小笠原:教室で使う教材、扱うプログラムは私たち自身で手作りしています。幼児教室、リトミック、感性を育てる取り組みと音楽教室……とあらゆる面を取り入れてるので、それを一つの教室でやろうとすると、作業量が通常の3倍、4倍で。かなり苦労もありました。もちろん、それ以上にやりがいも感じていますよ。

音階を視覚的に捉えられる自作教材

吉岡:例えばこれは、ドミノを組み合わせて音階を階段状に表現したものです。ピアノの音階に合わせて階段の上を人形が歩くので、お人形の動きから、音の高低差を視覚的に認識することができます。

小笠原:教室で流すBGMひとつとってもこだわっています。聞こえてくる音も体に染み込んできますからね。

吉岡:BGMは毎週私がチョイスしていて、できるだけいろんな音楽に触れられるように工夫して選曲しています。

「親としては理想の習いごと」

吉岡:コラソンの場合、お子さんを通わせる保護者の方も、必ずしも音楽の道に進ませたいといった思いではありません。

ある女の子のお母さんは、子どもにたくさん習い事をさせているんですけど、「どれも嫌がったりとやらされてるような感じで、娘が通うのを嫌がる。でもコラソンだけは遊んでいる感じで楽しく通えていて、親としては理想の習い事」と話してくれました。

実は、お子さんに向けて教室をやる中で、意外にも保護者の方が変化していくこともあります。教室に入ってきたときと比べて、子育て観や子どもに対する接し方が変わっていく様子が見られて、それがやりがいの一つでもあります。そうすることで子どももより変わっていくんですよね。

小笠原:本来、知りたい学びたいといった欲求は誰もが持っている感覚だと思います。

受け身の学びではなく、自ら色々な事柄に興味を持ち、もっと知りたい、もっと学びたいと感じてもらえたらそれが私の喜びです。

子ども達が、どうすれば楽しく知的な学びや音楽に触れられるか、試行錯誤の日々です。

難しさの分だけやりがいもありますし、これからもっと多くの子どもたちにコラソンのプログラムを届けられたらと思っています。

コラソンピアノスクールのウェブサイトはこちら>

コラソンピアノスクールのお2人も参加したステップアッププログラムの第6期受付中(1/19(日)〆切)>

おすすめ記事