“KSP流”事業開発ステップを追う:第6期ステップアッププログラム振り返り

高知県に起業文化を──。

そんな合言葉でスタートしたKOCHI STARTUP PARK(以下、KSP)も、立ち上げからおよそ丸3年が経とうとしています。

KSPが展開する各種プログラムやメンタリングの機会を通じて、のべ1000名を超える“KSP卒業生”を輩出してきました。

さて、そんなKSPのプログラムの中でも、肝と言えるのが2ヶ月でアイデアから事業立ち上げ準備までをサポートする「ステップアッププログラム」です。今回はそんなステップアッププログラムでどのように事業開発を進めるのか、アイデアからどのように事業立ち上げまで持っていくのか、その流れを、先日まで開催していた「第6期ステップアッププログラム」の様子とともに紹介します。

ステップアッププログラムとは?

ステップアッププログラムは、約2ヶ月、全5回のプログラムです。年2回ずつ、これまで通算6期開催してきました。

ステップアッププログラムではリーンスタートアップの考え方をベースとした5ステップのプログラムと、最終発表の場である「KSP」デモデイによって、事業の段階的な立ち上げをサポートします。

また、各参加者には、事業開発の専門家(メンター)がマンツーマンでサポート。定期的なメンタリングで方向性とやるべきことを明確にしながら進むことができます。

第6期ステップアッププログラムは、2020年1月〜3月まで約2ヶ月開催しました。ここからは、彼らの様子とともに事業立ち上げ準備までのステップを見てみましょう。

Day1:頭の中の「もやもや」を整理する

第6期は、事業内容も年齢もさまざまなおよそ20名が参加。

Day1では、頭の中に漠然とあるもやもやしたアイデアを整理します。

事業開発に限らず言えることですが、頭の中にあるものは、まず目に見える形にすることが非常に重要です。可視化することで、自分が見えていなかったポイントが整理でき、また他の人からフィードバックや意見をもらうこともできるようになります。

参加者たちもこのようなシートを使ってアイデアをまとめていきました。

その後は、参加者同士でアイデアを共有しながら、頭の中を整理。

Day2以降は、このアイデアの事業化に向けた挑戦が始まります。

Day2:価値検証の1歩目はプロトタイピングから

Day1で、頭の中のアイデアを可視化することの重要性をお伝えしました。紙に書き出せば、人から意見をもらうことはできます。

しかしながら、そのアイデアの「価値」を検証することはできません。価値検証のためには、実際にそのアイデアを使える状態(試作品)にしてあげる必要があるのです。

Day3では、アイデアを形にする「プロトタイピング」の方法を学びました。

さまざまなプロトタイピング用の素材を使って、アイデアを最低限の形にしていく

プロトタイピングにもさまざまな種類が存在します。そのうちいくつかを、それぞれ開発の段階が早い順に紹介します。

・ダーティー(ラピッド)プロトタイプ

・MVP(Minimum Viable  Product)

・β(べーた)版

例えば、ダーティープロトタイプの場合、おおよそ30分〜半日程度で作れるものをイメージしてください。これを作る目的は、頭の中のアイデアを形にして、ユーザーに意見を聞き、アイデア自体を洗練させることです。実際に売れるかどうかを考える必要はないので、当然、見た目にこだわる必要はありません。

もし、初期にアイデア自体の価値を検証しないまま製品開発まで進めてしまうと、後になって、時間とお金を無駄にしてしまう可能性があります。重要なのは「早く失敗することで、無駄にするコストと時間を削減すること」なのです。

Day3:素晴らしいアイデアも「伝わらなければ」価値は生めない

創業初期のアイデアは、人に伝えてもなかなかその魅力が伝わりきら図、「よくわからないもの」になりがちです。しかし、今まで世の中にないプロダクトだからといって、「理解してもらうこと」「価値を正しく伝えること」をおろそかにしてはヒットは望めません。良い製品を作れば必ずしも売れるわけではなく、その製品の価値を適切に伝えなければならないのです。

ですから、初期のマーケティングやプロモーションで重要なのは、「たくさんの人に知ってもらう」ことではなく、「価値を理解してもらう」こと。

参加者の皆さんも、魅力をつたえるフライヤーの制作をゴールとして、自身の事業アイデアの価値を理解してもらう伝え方を考えました。

ステップアッププログラムでは、希望者に対して、こうしたフライヤーやパネルの制作もサポートしている。

Day4:事業につきまとうお金のやりくり

Day4は、多くの人が苦手意識を感じている「お金」についてです。

ここまで、アイデアの価値を検証してきましたが、実際にそれをビジネスへと昇華させていくためには、どこからお金を得るかといったビジネスモデルの話や、収支計画などは欠かせない視点です。

スモールビジネスや創業初期において、日々のお金のやりくりにばかり目が向いてしまい、全体を俯瞰したこうした視点は置き去りにされがちです。

しかし、ビジネスモデルを考えることは、自分たちのビジネスでどう価値を生み出し、それをお客さんに届けるかを論理的に説明することとイコールですし、また例えば下のような「ビジネスモデルキャンバス」を使えば、自身のビジネスに足りていない部分を知ることができます。

このように、ビジネスモデルや収支計画は、事業成長やそのための戦略と切っても切り離せないものなのです。

Day5:人々を“行動させる”プレゼンテーション術

最後に学ぶのは「プレゼンテーション」です。

ステップアッププログラム後、参加者は「KSPデモデイ」にてプレゼンテーションを披露することになります。これまでも数多くの参加者がそこからビジネスの協業やその後の展開へとつなげていきました。

こうしたビジネスチャンスを得るために必要なのは「伝える」のではなく、「伝わる」プレゼンテーションです。

プログラムでは、プレゼンの構成から資料の作り方、発声の仕方にいたるまで、具体的なポイントを実践を交えて練習しました。

デモデイでは3分程度で事業に共感してもらわなければならない。そのためには要点を押さえたプレゼンの構成と姿勢を意識する必要がある。

ステップアッププログラムを終えて

これまで6期開催してきたステップアッププログラム。

わずか2ヶ月という期間ですが、多くの参加者はその前後で大きな変化を生み出しています。

アイデアの価値検証を通して、より伝えたい価値を伝えられる事業アイデアへとガラリと変化させた人、プロトタイピングを通じて実際にお客さんを獲得した人、またアイデアだけでなく、起業家としての心構えを身につける中でその人自身が大きく成長したケース。

それぞれ濃密な2ヶ月間を過ごし、その後の成長へとつなげていきました。

また、最近では、期を超えてステップアッププログラムの参加者同士がつながり、協業し、新たなビジネスを生み出す例もたくさん見えています。

3月1日にDay5を終えた今期のステップアッププログラムは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、残念ながら「KSPデモデイ」の開催を見送ることになりました。

しかし、参加者たちはそれぞれ2ヶ月間を通して、自身のビジネス立ち上げを進めてきました。ぜひ、高知に生まれる新ビジネスの種に引き続きご注目ください。

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