2020.1.30 いなかじかん・有澤あゆみさんーー安田町で「アロマ+カフェ+民宿」施設オープンへ
今回お話を聞いたのは、第5期ステップアッププログラムの参加者で、先日開催のデモデイにも登壇した有澤あゆみ(ありさわ・あゆみ)さんです。
有澤さんが目指すのは「田舎での、癒しの場づくり」。2020年4月のオープンを目指す事業のいまを聞きました。
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2020年4月に安田町でオープン「アロマサロン+カフェ+民宿」
安田町にある有澤さんの祖父母宅、現在はリノベーション準備中
私は「田舎での、癒しの場づくり」を目指して、現在、スポーツをしている人に特化したアロマサロン、カフェ、民宿の3つを組み合わせた複合施設を安田町でオープンするために準備を進めています。
まずは2020年4月にアロマサロンを、その後は夏ごろにカフェを併設、それから2年くらいをめどに民宿の開業を予定しています。
国体5度出場の有澤さん、スポーツをしている人に特化したアロマサロン開業を目指す
それぞれ順に説明します。
まずアロマサロンについて。多くのサロンは主に女性を対象としたリラクゼーション目的のものです。一方で私が提供するのは、アスリートやスポーツをしている人に特化したアロマサロンです。トリートメントで使用する精油は細胞までその効果が届くとも言われます。精油の効能と専門の技術によって、メンタルとフィジカルの両面にアプローチすることで、スポーツでのパフォーマンス向上の助けとなります。
高知県内ではまだそれほどメジャーではないですが、関東などを中心に少しずつ増えてきていますし、フランスなど海外では、医療分野などリラクゼーション以外にも積極的にアロマが活用されています。
トリートメントの様子
私がアロマに興味を持ったのは、10年ほど前。医療事務をしていた頃、職場の同僚に誘われてアロマ教室に通ったのがきっかけでした。はじめは月に1度通う程度で、仕事にしようとは思っていませんでしたが、偶然、アロマがスポーツ向けにも活用できることを耳にします。
もともと私自身も高校時代に陸上をしていて、7、8年前からはトライアスロンも始めていました。高知県の代表として、国体に5度出場したこともあります。そういったこともあり、アロマとスポーツの組み合わせに非常に関心を持ったのです。
7、8年前に始めたトライアスロン、大会での1枚
私自身も大きな大会でアロマを使ってみたところ、実際に効果を実感でき、これをもっと多くの人に提供できれば、と思いました。それからはまずは「AEAJアロマセラピスト」の資格を取得。現在は「スポーツアロマ・コンディショニングトレーナー」を目指しています。
起業を意識したのは、父の「農家引退」宣言
有澤さん(写真左)とお父さまとの1枚
こうしたアロマサロンに加えて、カフェと民宿の開業を目指していますが、この2つについては、私自身にアロマほどのノウハウや経験があるわけではありません。これらをオープンしようと考えた背景には、私が起業に関心を持つようになった理由が関係しています。
私が起業を初めて意識したのは、前職時代のことです。父は農家で、お米や柚子を中心に栽培していました。ただ父も年齢を重ねてきて、4、5年ほど前には、父から「そろそろ1人で農家を続けるのは難しい。その後はどうする?」と聞かれました。私は父が作るお米が大好きでしたし、それが食べれなくなるのは嫌だと思ったので「じゃあ私が後を継ぎます」って言ったんです。その時は仕事を続けながらでも、副業的に農家をできるんじゃないかと思っていました。
有澤さんのお父さまが栽培している柚子
自分のやりたいことや周りの環境が一つの事業に結びついてきた
結果的にこれが、1つの企業に勤める以外の選択肢を私に意識させるきっかけとなります。
すると、どんどんやりたいことやできることがアイデアとして浮かんできました。その頃はちょうどアロマも習っていたので、副業だったらセラピストもできるんじゃないか。また家で作る農作物を提供できる場所があったら、と考えるとカフェの構想も。私の母は料理学校の出身だったので、母に聞いてみたら興味を示してくれて。それなら、巻き込んで一緒にやってしまおう、と。
民宿に関しても昔から漠然とやってみたいという思いがありました。
ちょうど、安田町にあった祖父母の家が空き家になっていたため、これをリノベーションして活用すればサロンやカフェはオープンできます。祖父母の家は母屋とはなれに分かれているので、はなれでサロンとカフェをオープンして、母屋では民宿ができそうだぞ、と夢が膨らんでいきました。
こうして、自分の興味や経験、周りの環境や人が結びついて生まれたのが、現在の複合施設の構想なんです。
19年11月のデモデイ登壇、その後もマンツーマンメンタリングで事業を磨く
2020年4月の開業は、その2年ほど前から頭にありました。それを目指して退職にあたって
の準備や仕事の引き継ぎなどを進め、開業まで1年前に迫った2019年4月に、いよいよ本腰
を入れようと思って参加したのが、KOCHI STARTUP PARKのプログラムでした。私がア
ロマを勉強していたサロンが、過去にKSPに参加していた宮地知佳さんが務めていた場所だ
った縁もあり、参加を決めました。
8月からは2ヶ月間の事業開発プログラム「ステップアッププログラム」で事業立ち上げの準備を進め、11月にはデモデイで事業プランのお披露目。さらにそこからも「マンツーマンメンタリング」を活用して毎週メンターとの相談を重ねています。
特にデモデイに向けての2ヶ月間は非常に有意義な時間でした。自分はあれもこれも、というタイプなので、そこから事業としてやりたいことを絞り、やるべきことを明確にできましたし、同じ時期に同じような目標に向かっている人たちに刺激を受けるなかで、自分の中でも覚悟が決まってきたように思います。
1人で決断することの不安はある
私は何をするにも没頭して突っ走るタイプなので、不安よりもどちらかといえば開業への気持ちが先走ってここまできているところがあります。ただ、会社を辞めて事業立ち上げを進める中で、「会社の中ではこれだけ守られていたんだ」と実感する場面は多いです。
会社の中なら、自分がやりたいことを提案して実行したとしても、その責任が全て自分にあるわけではありません。いつでもアドバイスや意見をもらえるし、仲間にカバーもしてもらえます。もちろんKSPのメンタリングで相談に乗ってもらい、的確なアドバイスをもらえているので、やるべきことは明確に見えてはいますが、それでも最終的な決定を自分が下す時には、果たしてそれが本当に正しい選択なのか、常に不安もあるのが正直なところです。
また会社にいる時とは違い、事業に没頭するとどうしてもそれ以外の外の世界から疎遠になりがちです。ですから今は、休みの日には出来るだけ色々なコミュニティに顔を出そうと意識しています。それがきっと事業にも良い影響を与えると思うので。
まずは2年「やってみて方向性を考えたい」
とはいえ、まだオープンもしていませんし、色々と課題が出てくるのはこれからだと思います。
民宿事業は、申請などの問題から向こう2年ほどは開業準備にあてざるをえません。ちょうどこの民宿開業のタイミングで、一度全ての事業を見直したいとも思っています。まずはそれまでの2年間、ある意味トライアル的にサービスを提供してみて、そこでお客さんの反応を見ながらサービスの方向性を考えていきたいなと。将来的に、カフェが軌道に乗れば、そこは誰かに任せたいと思っていますが、それもまずはやってみてから。
まずは、4月のオープンに向けて、着々と準備を進めていきたいと思います。
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