〜103 café 菊池勇介さん〜

高知で長く愛されるお店になるように

 

高知市伊勢崎町で「103 café」を営む菊池さんにインタビューしました。
地域の人に長く愛されるお店になるようにと工夫を加えながらメニュー開発を行なっています。
高知の食材を使ったスイーツも種類豊富で人気のお店です。


関東から土佐町へ移住し、チャレンジショップでお店をオープン



以前から地方へ移住したいという気持ちがあり、移住先で自分たちのカフェを営むという夢を持っていました。
移住の情報を集める中で高知県のことを知り、まずは旅行がてら初めて高知を訪れたのが2019年のことです。
そこから何度か高知に足を運ぶうちに嶺北地域の魅力を知り、この地域への移住のサポートをしているNPO法人「れいほく田舎暮らしネットワーク」をはじめとする支援体制が心強かったこともあり、土佐町が移住先の第一候補地となりました。
「れいほく田舎暮らしネットワーク」の担当者に相談をする中で、チャレンジショップの入居者を募集していることを教えてもらい、「今だ!」と土佐町への移住を決めました。

こうして、2021年に関東から土佐町へ移住してきました。
移住と同時にお店を持つという夢が叶い、「103 café」のオープンに向けて準備を急ピッチでスタートさせました。
準備にあたっては、スイーツの開発経験がある妻が商品開発を担当し、私は食事メニューの開発を担当しました。
豊富な地元の食材を使いたいと土佐町の果物や味噌、酒粕などを活かした商品づくりを心がけ、「103 café」らしい商品ができたと思っています。


写真:高知の食材を使ったロールケーキ。フルーツをはじめ、高知県産の「ラム」や「えごま」といった珍しい食材も。



チャレンジショップ卒業!「粘れる場所」であることを条件に移転先を探す

周りの方のサポートや県の創業支援事業費補助金も活用し、無事に2021年7月に土佐町で「103 café」をオープンさせることができました。
オープン以来、訪れてくれる一人一人のお客様を大切にお迎えしてきました。
少しずつ、地元はもちろん地域外からも足を運んでくれるお客さんができてきたことは嬉しかったです。

しかし、チャレンジショップというのは「お試し」です。この物件は6ヶ月〜最長1年間しか利用できません。
そのため、営業をしながら次の物件探しを行う必要がありました。
移住する時にもお世話になった「れいほく田舎暮らしネットワーク」にも手伝ってもらい、嶺北地域でも物件を探しましたが、修繕が必要であったり、売買であったりと初期費用のかかる物件が多く条件に合う物件を見つけることができませんでした。

私たちが、移転にあたって大切にしていた条件があります。
それは、初期費用を抑えるということです。飲食店は、「開業から3年で7割のお店が潰れる」と言われています。
そのため、初期費用を抑えた「粘れる場所」を見つけることが、私たちの考える3年の壁を越えるための対策の一つでした。
移転先の範囲を嶺北地域から高知市エリアまで広げて検討し、たまたま見つけたのが、現在入居する物件でした。
高知市中心部から車で5分ほどの場所に位置する、住宅街にある居抜き物件です。

2022年1月頃にこちらの物件を契約し、チャレンジショップの営業と並行して、移転の準備を進めました。
同年5月にチャレンジショップを1年間の満期で閉店し、2ヶ月の準備期間を経て7月に現在の場所で営業をスタートさせました。

 


写真:「103 café」の前で



日々改善を繰り返して、お客様から愛されるお店をつくる

希望していた「粘れる場所」で営業を始めたものの、オープン当初は高知県内の新型コロナウイルス感染状況が最も悪い時期。
外食をするお客さんも少なく、厳しい状況からのスタートとなりました。
そうした状況を逆手に取り、メニューのブラッシュアップを行うなど磨き上げの作業ができたのはよかったことかもしれません。

チャレンジショップで営業していた時に提供していたメニューを基本に、ラインナップや味付けなどはお客様の嗜好に合わせて少しずつ変化させています。
メニューもサービスも、日々改善を続けて、徐々にお客さんの心を掴んでいきたいです。

現在は、カフェ営業とともに菓子の外販も行なっていて、JA高知県の直販「とさのさと」でプリンや焼き菓子を販売しています。
また、イベントへの出店も行っていて、まだ「103 café」を知らないお客さんに知っていただく機会を積極的に作っていきたいと考えています。

今年(2023年)は、チャレンジショップでのオープンから3年目を迎える勝負の年です。
しっかりと売上を伸ばしていけるよう、商品の磨き上げや定休日の見直しなど、お店をより良くするためにできることには、すべて取り組んでいきたいと思います。






103cafe
住所:高知市伊勢崎町18-9 カーサ伊勢崎2F西側店舗
https://www.103cafe.jp




文責/長野春子



~補助金担当からのあとがき~
菊池さんは令和3年度の高知県創業支援事業費補助金を活用され、「103café」を開業されました。
移住(Iターン)×起業、そしてチャレンジショップの活用と、慣れない土地での起業に向けてしっかりと準備をされている印象で、補助金申請では、地元の食材を活用したスイーツによる新たな産品の創出、地域活性化への貢献などが評価されていました。
チャレンジショップ卒業後は高知市内に移転となりましたが、ご本人もおっしゃっている「粘れる場所」で、「103café」らしさを存分に発揮していただけたらと思います。

高知県産学官民連携課 山本 晃平