〜KochiAmigo株式会社 長川雅夫さん・倉知幸一さん〜

海外経験豊富な二人が提供する「本当の高知」に触れるインバウンドツアー

それぞれ異なるバックグランドを持つ長川さんと倉知さんの二人が高知へ移住し、偶然出会ったところから、「KochiAmigo」は始まりました。

個を大切にしながらも、「海外に高知の魅力を伝えたい」という志を同じくする二人にお話を伺いました。

 

高知に移住した二人が見つけた、世界へ伝えたい高知の魅力

写真左から:倉知幸一さん、長川雅夫さん

 

- お二人は県外のご出身とのことですが、高知に移住したきっかけを教えてください。
 

倉知さん:
私はもともとは銀行員でしたが、約5年勤務した後、30才で東京の広告代理店に転職しました。その会社で高知の支店に勤務したことがきっかけです。その後、2020年に「Scratch」という高知県産品の外商やプロデュース、プロモーションを行う会社を起業しました。

長川さん:
私は、2020年に地域おこし協力隊として高知に移住しました。インバウンドに関わるミッションはないかと全国の募集を探していたところ、『「外貨を稼ぐ」観光地域づくりの推進業務』と書かれている高知県の募集を見つけました。海外での生活も長かったため、これはピッタリ!と思い応募してみると、ここで言う「外貨」とは県外から稼いでくるお金のことで、インバウンドではなかったことが判明しました。ともあれ応募し、「高知県版の地域おこし協力隊」として採用していただき、そこからは高知県東部観光協議会を中心に観光振興に取り組みました。

- お二人の共通点は海外経験が豊富なところだとお聞きましたが、詳しく教えていただけますか?

 

長川さん:
私は「世界一周旅行に行くぞ!」と日本を出発したのですが、結局、一か国目のグアテマラで14年ほど暮らしていました。笑


倉知さん:
私は坂本龍馬が好きだったこともあり、龍馬が脱藩した27歳の時に「何か行動しなければ」と勤めていた銀行を辞めて世界へ飛び出し、バックパッカーとして2年ほど世界各国を巡りました。私たち二人は海外に滞在していたといっても地域やその期間は異なります。ですが、この経験が二人の価値観や考え方に大きく影響を与えていることは確かです。

 

- それぞれ異なるタイミングで高知に移住し、異なる仕事をされていたお二人。どのように出会ったのですか?

倉知さん:
2020年に高知大学が実施した「こうち観光カレッジ」にそれぞれ参加し、そこで出会いました。より親しくなったのは、翌年の2021年秋に大阪で開催された「観光まちづくりプロデューサー養成プログラム」を受講したときです。そこから何度か大阪まで一緒の車で移動するなど、多くの時間を過ごしました。移動しながら、それぞれが考える現状の課題や思い描くビジョンを共有し、それぞれの「得意」を活かしながら協力し合うことがベストな選択であることが明確になり、二人で起業することを決めました。

長川さん:
2022年10月に起業した「KochiAmigo」では高知の自然をフィールドとしたインバウンドツアー「KOCHI ADVENTURE RIDE」を提供しています。こうしたツアーは、「アドベンチャートラベル」と呼ばれており、世界中で人気が高まっています。

 

高知の自然と暮らし、伝統を五感で感じる観光ツアー


 

- 「KochiAmigo」が提供するツアーは、具体的にはどのような内容ですか?

長川さん:
「e-bike」で高知の自然を感じながら移動し、移動した先々で地域の人々の暮らしや文化、伝統などを体験できるメニューを提供しています。全行程に「スルーガイド」と呼ばれる地域に精通したガイドと通訳が同行し、お客様をサポートしています。現在は中芸エリアを巡るプランといの町を巡るプランを作成していますが、今後はもっと増やしていきたいと考えています。

倉知さん:
このツアーでは、いわゆる観光名所と言われるような場所を足速に巡るのではなく、地域の人と出会い、体感してもらうことに重きを置いています。そのために、『高知が育んできた価値ある自然、文化、伝統を知り、感動してもらうにはどうしたらよいか。どういう順番で、どのような紹介をすればよいか』というストーリーを丁寧に考えました。一つのプランを作成するのに、だいたい1年以上の時間がかかります。地元の方々とコミュニケーションを重ね、モニターとしてツアーに参加した方々が高知のファンになってくれればプランの完成です。

 





- インバウンド観光客の方におすすめする高知の良さはどんなところですか?

長川さん:
まずは、自然です。水の美しさや山の緑の深さは素晴らしいですね。そして食事が美味しいこと。ここまでは、日本国内の観光客が感じる魅力と同じかもしれません。加えて、海外と異なる点は治安が良く、道路整備なども適切にされているところ。日本で暮らしていると当たり前ですが、圧倒的にセーフティだという点はおすすめポイントですね。

倉知さん:
誰とでも仲良くなれる、高知のフレンドリーな人柄は言語を超える「キーコンテンツ」だと考えています。ツアーの受け入れ側と観光客という枠組みを超えて、「AMIGO(スペイン語で友達の意味)」になれそうな可能性を秘めているところがおもしろいです。



 

- 起業準備はどのように進められたか、特に資金面について教えていただけますか?

倉知さん:
起業準備をするに当たっての資金面では、高知県が実施する創業補助金(高知県創業支援事業費補助金)を活用しました。この補助金は地域課題の解決につながる起業に対する補助金です。高知県は、インバウンド受入れに関して他県と比較しても大きく遅れを取っており、素晴らしい観光素材(自然・食・歴史など)があるにも関わらず、ツアー商品(観光コンテンツ)として最適化されていないため、顧客を呼ぶことができていないことに大きな課題があると感じていました。​その課題を当社が造成するツアーによって、本当の高知に出会っていただく機会として魅力向上を図っていくことが、この補助金の目的にも合致していると思い申請し、採択されました。

- 起業からここまで、当初描いていた通りに進んでいますか?


倉知さん:
まだスタートラインに立ったばかりなので、夢を実現していくため、ひとつひとつ丁寧に取り組んでいるところです。そんな中でも、すでに何件か海外からお問合せをいただいており、需要の高さを感じています。

 




- 今後の展望などあれば、教えてください。

長川さん:
前述の通り、まずはプランの磨き上げとメニューを増やしていきたいということもありますが、最終的に目指しているゴールは受け入れていただいた地域の方々に地域に誇りを持ってもらうことです。これは「シビックプライド」と呼ばれるもので、海外からのお客様に感動を与えることで、その土地の伝統や文化を地域の方々が再評価をするということを指します。私たちが素晴らしいと思う高知を、地域の方々にも誇りを持ってどんどん自慢してもらいたいですね。

倉知さん:
最終的には、地域の人から「KochiAmigo」に、「うちの地域で、こんなすごいもんがあるで」と売り込みに来てもらえるほどになれたら嬉しいです。私たちは個性のある二人ですので時にはぶつかることもありますが、目指すところは同じです。世界中の人に高知の魅力を伝えたいという思いで、多少の困難も楽しんでいきたいと考えています。


 

文責/長野春子

 

Kochi Amigo株式会社

https://kochiamigo.jp