〜まるげんKitchen 山元由夏利さん〜
米粉で作るパンにスイーツ!みんなで楽しめる「食」を提供する
健康や美容を気遣う人たちから注目されている食材「米粉」。この米粉を使ったパンやお菓子を製造するお店「まるげんkitchen」が2023年11月高知市南御座にオープンしました。今回は、店主の山元さんにお話を伺いました。
タイミングや巡り合わせで、想像していなかった起業の道へ
- 起業のきっかけを教えてください。
きっかけとなったのは、勤めていた会社の移転です。ちょうどその頃、第二子に発達障害の可能性があることが分かり、幼稚園に登園したがらないこともあって、子どもたちとの時間を作ってあげたいという気持ちがありました。そんなタイミングとも重なり、2020年に10年以上勤めていた会社を退職し、自分でパン教室やお菓子の製造を生業としていくことを決めました。
- パンやお菓子作りはいつから始められたのですか?
小さい頃から関心があって、保育園の時にはクッキングトイを買ってもらったり、テレビでは「ひとりでできるもん」や「3分クッキング」などの番組を好んで観たりしていました。大人になってもパン作りやお菓子作りは続けていましたが、それを仕事にしようと考えたことはありませんでした。
第一子が生まれてからも、友人に誘ってもらいパン教室や料理教室に参加をしていました。子連れで参加できる教室で、子育てで一杯一杯の毎日を過ごしていた私にとって、好きなお料理に集中して向き合えることができるとても楽しい時間でした。そうしているうちに「私もそういう場所を作りたい」と思うようになり、2019年頃から仕事のない週末を利用して、子ども向けのパン教室を始めました。
- どのような教室を始められたのでしょうか。
パン教室に参加できるのは、お子さんだけ。2時間ほどの教室の時間、保護者の方には自由な時間を過ごしてもらいます。自宅で子どもと一緒にパン作りやお菓子作りをすると、粉が飛び散ったりするたびに口出ししたくなってしまうものですが、教室では寛容に、自由な創作活動をサポートしていました。依頼があれば、大人向けの教室も開催していました。
当初はこうした教室業を主軸に、商品の製造・販売をしていこうと考えていました。しかし一転、新型コロナウイルス感染症の流行によって、みんなで作って一緒に食べるという教室の運営が難しくなってしまい、パンやお菓子のオーダーがメインとなっていきました。
お客様からのリクエストをきっかけに、米粉スイーツ・パンの専門店に
- コロナ禍で、当初検討していた事業内容に変化があったのですね。
独立から1年ほど経過した頃、あるお客様から米粉でお菓子を作って欲しいという依頼をいただき、製造するということがありました。もともと米粉に興味はあったのですが、依頼をきっかけに自身の生活もグルテンフリーに切り替えました。米粉について調べたり、友人などにニーズ調査をしていくうちに、可能性しかないことに気づきます。
私自身もグルテンフリー生活をしてみて「これは良い」という実感を持っていましたが、一方で、すべてのパンやお菓子を小麦粉から米粉に変えるとなると、これまで蓄積してきたレシピの分量・作り方を一から見直さなければなりません。それでも迷いなく踏み出せたのは、米粉のパン・お菓子の専門店は珍しく、今後の「まるげんkitchen」の方向性に希望を見出せたことが大きかったからです。
夫婦二人三脚でお店を改装
- 委託販売やオーダー製造を行なっていたところから、どうして店舗を持つことになったのでしょう。
拠点を持ちたいということで、2022年の冬くらいから店舗探しを始めました。翌年の春に、この物件を見つけて契約しました。ここは事務所スペースとして使っていた一部を除いて、空っぽの倉庫のような空間。初期費用をできる限り抑えてスタートしたかったため、そこから半年かけてDIYでお店づくりを行いました。DIYは主に夫が担当してくれ、作業スペースや店内装飾など、毎週末の休みを使って作業してくれました。
その間、私はレシピのブラッシュアップをしながら、「こうちスタートアップパーク(以下、KSP)」で起業に向けた相談をし、そこから「起業直前集中メンタリング」というプログラム参加をしました。「やらないといけないことが山積みで、どれから手をつけたらいいか」という状態だった私にとって、メンターと話しているうちに頭の中が整理され、今やるべきことが明確になっていきました。また次回に向けて課題が出されるので準備しないといけないという程よいプレッシャーのある環境がありがたかったです。メンターの方にアドバイスいただいた、あまり更新していなかったインスタグラムを今でもできる限り更新するようにしています。
- ご夫婦の手作りでお店が完成し、この冬オープンされたのですね。
店舗は2023年11月20日にオープンしました。商品はシフォンケーキ、マフィン、スコーン、パンが8種、そしてクッキーなど焼き菓子が12種ほど。日によってラインナップは変わりますが、20数種類が店頭に並びます。
お店がオープンする日は、朝4〜5時に出勤し、パンやケーキを焼いて、12時30分にオープンします。そして午後4時閉店と営業時間が短く、また営業日も週1〜2日と少ないのが現状です。米粉の特性から作り置きが難しく、パンやケーキなどは1人で製造しています。仕事と生活のリズムに慣れたら、営業日を増やしていきたいと思っていますが、無理は禁物。お店を長く続けたいという気持ちがあるので、自分のペースで無理なく続けることを目標としています。
パンやお菓子の製造・販売にとどまらない、「まるげんkitchen」の広がる可能性
- 店舗スペースが広いですが、このスペースを活用した計画などはありますか?
ゆくゆくはカフェができたらと思っていますが、具体的にはまだ何も決まっていません。絵を描くのが好きなので、まるげんkitchenのロゴの下に小さく「food & art」と入れています。将来的には店舗内の空いているスペースをアーティストの方にギャラリーのように使っていただきたいなという思いがあります。またお花のアレンジメントの教室や石けん教室など、自由に使ってもらえるような場所に育っていけば嬉しいです。
まるげんkitchen
住所:高知市南御座9-43
定休日:不定休
営業時間:12:30〜16:00
Instagram:@yamayu1315
文責/長野春子