~Hostel東風の家 仙頭杏美 さん~

「東風の家」を高知県東部を楽しむ旅の窓口に

「東風の家」は、安芸市にある旅人や地元の人が交流できるゲストハウスです。

今回は代表の仙頭杏美さんにインキュベーションマネージャー(IM)の池上がインタビューしました。

 

 

■視野を広げるために海外へ

 

私は東京の大学を卒業した後は、地元で働きたいという思いがあったので、高知のデザイン会社に新卒で就職しました。

 

その会社では、企画編集、ライター、ディレクションをしていました。
私は出身が安芸市ということもあり、東部エリアの仕事を多くしていました。

 

仕事を通じて東部エリアの魅力に触れ、面白さを感じるにつれて、もっと地元を盛り上げていきたいと思うようになると同時に地域活性化の仕事をたくさん見ていく中で、地域活性化のために動ける人が少ないという問題にも気がつきました。

 

しかし、地元を漠然と盛り上げたいと思っていても、何をするか決めていない状態が続きました。

このはっきりしない状態はやめようと思い、視野を広げるために会社を辞めて海外に行く決断をしました。

 

 

■貴重な経験ができるゲストハウスの魅力にはまる

 

もともと私は旅が好きで、15か国ほど外国に行ったことがあります。

特にゲストハウスというスタイルが好きで、旅をするときはゲストハウスに泊まっていました。

 

ゲストハウスの魅力は、知らない人と出会えて、そこで友達になり、一緒にその人と旅ができるようになったりすること。

時にはオーナーさんが地元の人なので旅しただけでは得られない、地元のディープな情報を教えてもらえることもあります。

 

インドネシアに行ったときは、結婚式に参加したこともありました。

現地の方と知り合わないと経験できないことが経験できるゲストハウスの魅力にはまっていきました。

 

海外では、いろいろな外国の方と友人になり、日本に興味をもってもらいながら、だんだん、私の大好きな高知に来てもらいたいと思えるようになりました。

 

 

■縁あって地元の安芸でゲストハウスをやることを決意

 

 

海外から高知に帰ってきても、ゲストハウスを自分で経営しようとは思いませんでした。

なぜなら、起業するのが不安だったからです。

 

周りの起業されている方と知り合って、自分で何かをやってみたいと思っていましたが、なかなか一歩が踏み出せない状態でした。

 

やってみたかったことをやるということで、室戸の街づくり団体、その後、高知の野菜を東京に流通させる企業に勤務しました。

その経験を通じて、自分のやりたいことを実現していきたい気持ちの方が大きくなったことに気づき始めました。

 

改めて自分がやりたいことを見直したときに、私のやりたいことは国際交流や、高知のことを発信することだと確信しました。

地方で外国の人と出会える場所を考えたときに、やはりゲストハウスの経営だと思い、ゲストハウスを起業することを決めました。

 

最初は土佐山田や奈半利で物件を探していましたが、ご縁があり地元である安芸でゲストハウスをやることになりました。

 

 

もともと古民家が好きだったので、古民家でやりたいと思っていました。古民家だと、外国の方に日本を感じていただけます。

 

安芸でやってよかったのは、地縁のつながりがあるので、いろいろな人が応援してくれたことです。私の父と母を知っている人も多いので、話も進みやすかったです。地元出身の良さですね。

 

みんな応援してくれるので、居心地も良いし後押しをされている感じで頑張れました。

 

 

■お客さん同士が意気投合し、観光にいくことも

 

 

昔から感じているのが、田舎は多様な人との出会いが少ないこと。

外国の人に出会う場面も少ないし、全国各地で色々なことをしている人と出会う場面も少ない。

なので、いろいろな国の方に宿泊してもらい、ここを拠点に地域をもっと楽しい場所にしていきたいという思いもあります。

 

ライター時代の経験を通じて、たくさんの方と出会って刺激を受けて今の私ができ上がっています。

 

私は人に刺激を受けながら成長してきたので、そんな異文化と出会えるきっかけとなる場所を田舎に持ちたいと思いました。

ゲストハウス「東風の家」は、多様な人が集まり、地域の人とお客さんの出会う場所にしたいというのがコンセプトです。

 

地域の人が気軽に入ってこれる場所を作りたいと思って、今はバーもやっています。

常連さんが多いですが、ふらっと来る移住者の人も多いです。現在では、知り合いが知り合いを呼んでくれてお客さんが増えています。お遍路さんも寄ってくれることもあります。

 

 

宿泊客とバーのお客さんが意気投合して、おすすめの場所を紹介したり、時には次の日にお客さん同士で観光に行ったりしています。

 

それはお客さんにとって、すごく良い思い出になりますし、少しずつですが、そういったことが起こり始めています。

 

チャレンジショップのような運営もしたいと思い、バーの場所をレンタルスペースとして場所貸しもしています。もし、お店をやってみたい方がいらっしゃったら使ってもらう予定です。

今は友人が月曜日と木曜日でやっています。

 

講演会や宴会ができるレンタルスペースもあり、地元の方がヨガ教室を開催したりしています。

Wi-Fiやコピー機、スクリーン、プロジェクター、ホワイトボードもあります。

 

 

 

■KSPの個別面談でアイデアを磨き上げる

 

ゲストハウスをやろうと決めていたものの、物件探しを始めていない段階からKSPの個別相談を利用させていただきました。

 

ゲストハウスは、全国各地にできているものだったので、他にはないような宿のアイデアを話しながら、自分の頭の中を整理することができました。

 

KSPのプログラムはやりたいことをみんなでディスカッションしながら磨き上げることができるのでとても魅力的に感じました。

 

また、「創業支援事業費補助金」を活用して、ゲストハウスを開業したのですが、こういった資金的支援をしていただけたのも大変助かりました。

 

 

■大盛況だった内覧会

 

コロナの影響で事業開始が遅れましたが、事業計画の磨き上げも協力していただき、無事オープンすることができました。

 

オープン前には、地域の方に宿を見てもらうため、大家さんへのお礼も兼ねて内覧会を開催しました。

 

内覧会には用意した飲み物がなくなるほどたくさんの方に来ていただきました。当日来られた方からは嬉しいお言葉もたくさんいただきました。

 

 

■新しい人の流れを安芸に作っていけるような拠点に

 

 

今後の大きな目標は、「東風の家」を安芸で新しい人の流れができる拠点にしていくことです。

 

お客さんや地域の方達に、安芸の良さを改めて知っていただくために、言葉での発信や地元のお店と連携した宴会プランの企画、地元食材の紹介、具体的には柚子のシーズンには柚子のお酒を出す等をすることで地元の良さの再発信をしていきたいです。

 

 

私のように安芸でビジネスを興こす人が出てきてくれるように、イベントなどを開催しながら、人とのつながりも作っていきたいですね。

 

ワーケーションにも力を入れていきたいです。

移住だけでなく、都会から安芸に関わってくれる人を作りたいという思いがあり、安芸をもっと楽しんでいただく発信をしていきたいと思っています。

 

高知のワーケーションについてブログで情報発信していたおかげで、お客さんの紹介で雑誌に載せてもらうことになりました。

 

また、都会の企業が一週間程度滞在しながらチームビルディングを学ぶ宿泊付き企業研修や、高知で起業する方たちが勉強できる合宿など、宿泊に付加価値を付けた企画も考えています。

 

 

 

「東風の家」のホームページ(HP)はこちら

https://kochinoya.com/

文責/池上 幸男