目指すは楮(こうぞ)の総合プロデューサー~KOUZO 池田あや さん~

令和3年3月に立ち上がった「KOUZO」では、土佐和紙の伝統を守り、広げるために和紙原料以外の破棄されていた楮※を使った芋けんぴやパウダー、スノーボールクッキーを販売されています。

(※クワ科の植物で和紙の原料として使われている。)

 

今回は代表の池田あやさんにインキュベーションマネージャー(IM)の池上がインタビューしました。

 

 

起業をしようと思ったきっかけは、高齢化に伴う生産者の減少により、今後も楮の生産量が落ち込んでいく中、楮の和紙として活用できない部分を活用することで、商品価値を高めつつ生産者を増加させ、ひいては楮や土佐和紙を守る活動につなげたいと思ったからです。

(※日本国内では、高知県本山町・いの町、茨城県大子町・常陸大宮市などが楮の主な産地であるが、獣害による生産意欲減退により衰退した地域もあるなど、現在の日本国内で流通している楮のおよそ半数が日本国外産となっている。)

 

 

■楮を食べられるように商品化

 

 

楮パウダーは、楮の外側の薄い茶色の皮の部分を細かく粉末にしています。

実は和紙の原材料である楮の中で、和紙で使える部分はとても少なく、外側の皮の部分ともう少し内側の色が付いた部分を包丁で削って残った白い薄い皮の部分を使います。

 


「マタギのおやつ」は、高知県産のお芋に楮パウダーをまぶしてできたものです。

高知県産のお芋にこだわっている、芋けんぴ専門店の利休さんにコラボしていただきました。

 

楮はお芋ととても相性が良く、昔は楮を煮て、その上でお芋を蒸しながら食べていたそうです。

「マタギのおやつ」の名前の由来は、東北のマタギが楮の皮にお味噌をつけてガムのようにして食べるとの話を和紙職人から聞き、これは面白いなとこのネーミングを思いつきました。

(※マタギとは、東北地方~甲信越地方の山岳地帯で、古い方法を用いて集団で狩猟を行う者のこと。)

 

 

「鬼皮スノーボールのクッキー」は、高知県産の米粉を使ったグルテンフリーのクッキーです。

使用している天日塩も高知県産です。ビーガンの方も食べられるように動物性の原材料は使っていません。

 

 

■土佐和紙を広げる「Washi+」という団体にも所属

 

 

アートやダンスで土佐和紙をみんなに知ってもらおうと活動している「Washi+」という団体に所属しています。

ダンサーは東京から高知に来ていますが、実際に和紙を作る体験をしながら土佐和紙に対する理解を深めていくようなことも行います。

 

舞台では、和紙職人のことや、新しい世代と古い世代のぶつかり合い等をリアルに表現します。

 

土佐和紙に触れていない方は、土佐和紙の作り方などはわかりにくいと思います。

そこで、子供向けに一週間かけて和紙のことを勉強しながら劇を作り発表するという、ワークショップを企画し実施しました。ワークショップを経験すると、子供たちの和紙への理解度も全然違います。

 

 

■商品パッケージも土佐和紙でできている

 

楮は農家の方が副収入を得るために昔は山の斜面に植えていました。作っていた方は現在、高齢になったので、刈り取り場所まで行けなくなっています。

 

そこで、仲間のボランティアで刈り取りを手伝いながら、楮を分けてもらったのですが、かなり大変な作業でした。

 

いの町の奥にある、とさ自由学校の生徒さんたちも興味を持ってくださり、去年も親御さんと一緒に蒸し剥ぎしてくれました。

その時は子供でもできるような楮を用意し、楽しくできるように工夫しました。

 

 

土佐和紙が生活に溶け込んでいる状態になって初めて和紙の文化が残ったといえると思います。

普段食べるおやつなどで、楮に興味を持ってもらったらいいなと思っています。パッケージも土佐和紙でできていますので、シールをはがせばそのまま再利用できるようになっています。

 

この間、東京の有楽町のイベントで先行発売をしました。

高知以外に出たら土佐和紙自体を知らない方もいらっしゃいます。他の産地の和紙が有名だったりするので、高知で和紙を作っていると伝えると驚かれる方もいらっしゃいます。

 

今後はいろいろなイベントも絡めながら販売をし、土佐和紙の認知度を高めていきたいと思います。

 

 

■KSPの交流会での出会いや、補助金の活用

 

 

KSPの地域資源を活用した起業家シリーズの交流会で登壇した時に、有楽町のイベントを紹介していただきました。

ちょうどタイミングが合ったので、イベントに呼んでいただきました。

 

また、栄養の調査や、試作品を作ることは、自分ひとりでは難しかったので、プロトタイプを作成する補助金を活用できたのはありがたかったです。

補助金申請には事業計画書が必要だったのですが、改めて自分のやろうとする事業の棚卸しになり、すごく良かったですね。

 

 

■偶然に偶然が重なり、たくさんの方と出会う

 

 

「KOUZO」は2021年の3月から活動を始めました。

「KOUZO」といっても普通の人はわからないと思います。KOUZOってなに?と思って覚えてもらうために屋号を「KOUZO」にしました。

 

「Washi+」の代表の浜田さんと、東京から私がUターンした時期が一緒で、ダンス作品のイベントに応募したのをきっかけに、知り合いになりました。偶然に偶然が重なり今の人脈があります。

食のことや、自然食品などには昔から興味があり、勉強するのは好きでした。

 

商品のパッケージデザインは、高知県の観光の旗などのデザインのディレクションをした同級生のデザイナーに依頼しました。

 

自分がやりたいことを発信していると、人が人を紹介してくれ、会いたい人に出会うことができました。

違ったジャンルの方にも積極的に話を聞きに行きました。

 

 

■目指すは楮の総合プロデューサー

 

 

将来的には、楮で作ったお茶もやろうと思っています。

お茶は賞味期限も長く、高知県内のカフェなどで使ってもらえると思っています。

 

たくさんの人の目にふれることで、私がやりたい活動にもつながると思います。

 

私は楮に可能性を感じているので、楮の成分を抽出したコスメやディスプレイ用の楮ができないかと思っています。

 

今後は、ジャンルを問わずチャレンジしていきたいです。色々な方とコラボして自分が共感する企業さんなどと一緒にやって、両方盛り上がっていけばいいと思っています。

 

将来的には、土佐和紙の地域の伝統を守るための総合プロデュースができないかと考えています。



KOUZOのホームページ(HP)はこちら▼
https://kouzo202103.wixsite.com/my-site

 

文責/池上 幸男