~Ocean Leather 高橋大海 さん~
何百回もの試行錯誤の後に、フィッシュレザーの製品化に成功
今回は、魚の鱗で作ったキーホルダーや、フィッシュレザー(魚の皮)で作った財布の販売、フィッシュレザーの卸売りをされている、Ocean Leather 代表の高橋 大海さんにインキュベーションマネージャー(IM)池上がインタビューしました。
Ocean Leatherのフィッシュレザーは、某有名テーマパークのアトラクションの衣装にも使用されています。
■何百回もの試行錯誤の後に完成させた魚の皮
父が経営している水産会社で働いていた時に、魚の皮や鱗などが大量の廃棄物として処分されているのを見て、何か有効活用できないかと思っていました。
なかなか良いアイデアは思いつかなかったのですが、コロナ禍になり、魚の皮で色々と実験をするようになりました。
魚の皮の処理の知識は自分で調べ、何百回も試行錯誤し、完成させるのに苦労しました。
皮を洗浄する工程だけでも、1週間位かかるので、1セット作るのに2週間位かかります。
洗う器具も自分で改造して作りました。すべて手作りで、なるべくお金をかけないようにしています。
色は、染料でつけています。魚種によって、洗剤の配分とタンニン(木の幹などを煮だして粉にしたもの。防腐処理の効果がある。)の量も変えなければいけません。
厚さの違いに加えて、アルカリに溶けやすい皮、酸に弱い皮などがあります。牛革と違って、魚種ごとに変える必要があります。
もともと魚の皮は強さがあります。魚によっても強度の違いはありますが、それぞれの特性に合うように製品化しています。牛革と同じように、使えば使うほど味がでてきます。
今のところ50魚種くらいのデータはもっています。僕自身釣りが好きなので、釣った魚からもデータを集めています。現在はチョウザメに挑戦しています。
■某有名テーマパークの衣装でも使われているフィッシュレザー
魚の皮は、父の水産加工会社や、養殖業者さんから仕入れています。皮を剥ぐ手間がかかるので材料の仕入れが大変なこともあります。
タイ、ブリ、シイラは父の会社から、マグロは宿毛から仕入れています。鮭も扱っています。
先日、蔦屋書店で、鱗をつかったピアス等など販売しました。ピアスがとても人気で、女性の方が興味を持ってくださりました。
釣り好きな方が興味を持ってくれるかなと思っていましたが、実際に販売してみないとわかりません。
フィッシュレザーの知名度を上げるためにまずは商品を知ってもらって、魚の皮の需要を上げ、皮の製品の販売につなげていきたいです。
フィッシュレザーは、某有名テーマパークのアトラクションの衣装にも使われています。
その他、現在進行中の企画もあり、車のハンドル部分にフィッシュレザーを使えないかなど、企業さんとフィッシュレザーの可能性を探っています。
■フィッシュレザーの可能性を模索
元々起業は考えていませんでしたが、就活のことを調べていくと、自分でやるのと、就職するのは同じだと思ったので起業を決意し、2021年の4月に開業しました。
おかげ様でメディアに紹介していただき、反響をいただいています。
※出世魚(ブリ)の名刺入れ(左)
皮は大量生産できます。例えば100枚作るのも、20枚作るのも手間は変わりません。なので、魚の皮を普及させるために、まずは布や名刺入れなどの商品のバリエーションを増やして、魚の皮を身近に感じてもらうことから開始しています。
商品のバリエーションを増やすためにも、どんなところに魚の皮が使えるかを模索している状態です。
■KSPの利用について
KSPは、展示会に行った時に県の方から紹介してもらいました。KSPでは起業ベーシックコースを受講し、メンタリングも3回ほど活用しました。
起業ベーシックコースやメンタリングでは、アイデアのヒントをいただけましたし、迷っていたアイデアの方針を決めるのにも役立ちました。
■将来について
今後作りたい商品は、フィッシュレザー製の革ジャンです。原料を手に入れるのが難しく、一枚皮で大きいマグロのような皮が必要です。
座布団ヒラメをつかった座布団もつくってみたいです。色々アイデアはあります。
今年はバックなどをリリース予定で、来年になると商品ラインナップが倍くらいになってそうです。
会社の規模にこだわりはありませんが、いつかは一緒にやってくれる人と楽しく仕事したいです。
Ocean Leather HPはこちら▼
https://oceanleather.official.ec/
文責/池上 幸男