こうちスケールアッププログラム「成果報告会開催レポート」

 

高知県では、今後スケールを目指す起業家のみなさんを応援する「こうちスケールアッププログラム2022」を実施しました。

3月24日、今年度実施してきたプログラムの集大成として、マンツーマンセッションプログラムの「成果報告会」を開催しました。

(発表で用いた報告資料については、開示できない情報が含まれているため伏せております。)

 

【イントロダクション】

 

まずは、運営事務局の株式会社アドライトより、プログラム全体の取り組みについて説明しました。

「こうちスケールアッププログラム2022」では、以下3つのプログラムを行ってきました。

 

①     起業サロン

高知県出身で活躍している起業家、上場経験のある起業家、投資家といった様々な方をゲストに講演していただきました。

 

②     マンツーマンセッション

県内のスケールアップを目指す起業家(メンティー)に対し、固定メンターと課題に応じたスポットメンターが、ともに事業のスケールをサポートしました。

 

③     成果報告会

マンツーマンセッションを受けられた起業家のみなさんに成果報告をしていただくとともに、トークセッションを設けて、振り返りと高知の将来性を共有しました。

 

【メンティーによる成果報告】

 

次に、今回のプログラムを受講したメンティー3名それぞれに成果を発表していただき、併せて、伴走サポートをしたメンターからの総評・コメントをいただきました。

 

■1組目

・メンティー:瀬戸口 信弥 氏(合同会社高知カンパーニュブルワリー 代表社員)

・メンター:中西 聖 氏(プロパティエージェント株式会社 代表取締役社長)

 

 

メンティーの瀬戸口氏は、2018年に高知県へ移住し、クラフトビール『TOSACO(トサコ)』を製造・販売。ビジネスプランコンテストにて多数受賞経験があります。

 

メンターの中西氏は、2004年にプロパティエージェント株式会社を設立し、代表取締役に就任。2015年JASDAQ上場。2018年には東証一部に市場変更。高知県出身の上場起業家です。

 

成果報告では、「圧倒的に先を行く先輩経営者の視座を感じ取りたい!」、「実践的な学びのなかで、今挑戦しているスケールをなんとしても成功させたい!」という応募動機の下、今年度は新工場新設や都市部への販路拡大にも着手。

 

バックキャストでビジョンや経営計画を作ることの重要性や、「あれもこれもやるではなく、やらないことを決める、やることにフォーカスする」という視点に気づけたとのことでした。

 

現在は「やることが決まると不安がなくなってきた。」、「小さくても最強の会社を作っていきます。」と、事業の方向性が明確になり、さらにドライブを掛けることができたようです。

 

■2組目

・メンティー:中島 匠一 氏(株式会社ブランド高知 代表取締役社長)

・メンター:守時 健 氏(株式会社パンクチュアル 代表取締役)

 

 

メンティーの中島氏は、2017年大阪芸術大学卒業後、作品「高知の財布」を発表。2018年に芸能人に紹介されるなどして、メディアで話題に。現在は高知発のブランドやプロダクト開発に取り組み、雑貨に留まらず、コスメ・化粧品の企画開発も展開しています。

 

メンターの守時氏は、大学卒業後、高知県須崎市役所に入庁。ご当地キャラクターしんじょう君を企画運営し、ゆるキャラグランプリで優勝。ふるさと納税の分野でのアワードグランプリの実績を得て、令和2年度に起業し、地域商社「株式会社パンクチュアル」を設立し急成長している、新進気鋭の起業家です。

 

成果報告では、「高知を盛り上げ、日本中に高知柄を拡げることで、地産外商の新しい旋風を起こしたい!」という応募動機の下、展示会出典や人員体制の強化に取り組んできました。

 

一方で、プログラムを通して、「経営には、型が必要だということに気づけた。」、「ミッション・ビジョン・バリューが、何より大事だと気づいた。」という視点を得たとのこと。

 

闇雲に何でもやるのではなく、「注力領域を明確にし、無駄を省き、企業としての体制を整える。」、「ミッション・ビジョン・バリューを社員と共有し、ブランディングを徹底する。」ことを学び、経営の方向性を見直すことができたとの発表がありました。

 

■3組目

・メンティー:小野山 栄太郎 氏(株式会社トーリ 代表取締役社長)

・メンター:南 常之 氏(株式会社なんつね 代表取締役社長)

 

 

メンティーの小野山氏は、高知内に8店舗のヘアサロンを構える株式会社トーリを2015年に事業継承し、代表取締役社長に就任。訪問理美容やネイル及びまつげサロンも展開しています。

 

メンターの南氏は、大阪府にある株式会社なんつねの代表取締役社長。トップシェアを誇る食品加工機械の製造販売を中心として事業を展開。創業者の曽祖父から数えて4代目、かつ30歳代前半で会社を引き継いだ経験をお持ちです。

 

成果報告では、「美容師としての目線から、経営者としての学びを求め、もっと会社を発展させたくて参加した!」という応募動機の下、ご自身・企業いずれの課題・ゴール設定に取り組んできました。しかし、はじめはなかなか腑に落ちるレベルに到達できず難しさを感じていたそうです。

 

ですが、会社のミッションを共通言語化したことで、一気に前向きになり、現在はプログラムを通して2つの新規プロジェクトがスタートすることになりました。

 

【トークセッション】

 

今回固定メンターを務めていただいた、中西氏と守時氏にご登壇いただきました。

お二方とも、以前、メンティー側として、メンターからアドバイスを受けて経営を推進していた経験をお持ちであり、実体験を下に、パネルディスカッション形式で貴重なお話をお伺いしました。

 

「メンターを通じて感じたこと」というテーマでは、今回3組共通してビジョンを深堀りしていたことを踏まえ、いわゆる論語と算盤ではないが、ビジョンと数字はリンクしており、合致することで大きな成長や事業拡大の起点となることを教えていただきました。

 

また、実はプログラムを通して、メンター自身にも新たな気づきや学びがあったとのこと。こういった相乗効果を通して、お互い学び合う関係性へと昇華され、成果につながるのだろうとお見受けしました。

 

さらに「メンティーは何を学べるのか」というテーマでは、守時氏はご自身の経験において痛感された「経営の方向性を見出すことができる」という点、中西氏は「自分ではなかなか気づかないが、意外と考え方が固まっているため、新しい視点や思考の整理整頓につながる」という点を挙げられていました。

 

 

最後に「メンタリングに興味ある方へ」というテーマでは、とりあえずメンタリングを導入してみるといったことではなく、上手くいくためのフォーマットが大事とのことでした。実は今回のこうちスケールアッププログラムのマンツーマンセッションでは、世界的な起業家ネットワークで用いられているメンタリングメソッドを応用・導入しています。また、やはりメンティー・メンターお互いの成長意欲が一番大切とのお話もありました。

 

【最後に】

今回のプログラムは3月末をもって終了となりますが、高知県では今後も「事業をスケールするためのきっかけがほしい方」、「県内の起業家同士でつながりを持ちたい方」、「上場経験のある起業家の話を聞いてみたい方」に向けたプログラムやコンテンツを企画していきますので、ぜひ皆様の参加をお待ちしております。